第571話 三個の容器の中身は何?(11)

「ちょ、ちょっとあなた~ そんなに激しく抱きつき甘えてくると、私(わたくし)の身体が椅子から落ちて、身体を強く打ってしまいます~。あなた~」と。


 健太の幼い女神さまは、自身の主さまへと不満を漏らすのだが。


「いいじゃない~、いいじゃない~。僕の女神さま~。愛している~。愛しているよ~」と。


 幼子のような振る舞いで甘えて、女神シルフィーから離れようとしない。


 と、言うよりも?


 すっかり忘れていました。


 この時の健太は、少年ではなくて、未だ幼子でした。


 だから健太自身の母とも変わらぬ、心の拠り所である。シルフィーへと甘えて離れようとはしない。


『バブバブ』と、赤ちゃん返りもしているようだから。


 と、なれば?



 健太の大変に若くて幼い奥さまは、「(致し方がない)」と、己の心の中で思うから。諦めるのだよ。


「ほら、ほら、良い子~。良い子~。あなた~」と。


 優しく健太へ、女神の微笑みと声を投げかけながら。幼い主さまの頭や頬、背を優しく振れ、赤子をあやすように撫でながら空いた手で再度、液体調味料をコロッケへと少しばかり注いでみるのだ。


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