第373話 家出(220)

 女王アイカを完全に自分の物だと、オーク最強の漢に認めさせる為に……。


 そ、それこそ? 少年健太の意気込みは、冥界の深い淵に堕ちて、さ迷ってみせても。何度でもフェニックスの如く、死の淵から蘇り。オーク最強の漢の身を危機に晒してやる気構えで、ファイティングポーズをとるのだよ。


 う~ん、でもね~?


 そんな様子の健太を背から見詰める女王アイカは、気が気ではない。


「あなた~。もうやめてよ~。お願いだから~。もしも~? 次に目が覚めなかったらどうするの~? それに~。ウォンも、もうやめなさい~。貴方が王にこれ以上逆らうことは、私に対しても、謀反を起こすのと一緒だから~。頼むからやめて~。お願いだから~」と。


 女王アイカは、健太だけにこれ以上ウォンと争わないでくれと諫め、止めるのではなくて。自身が先程荒々しい行為で止めたウォン……。二人の漢に対して、自分のことで争わないでくれと諫め、止め──。


 そして嘆願をするのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る