第194話 少年はまた猜疑心ばかり募らせる(6)

 だから健太の口から。


「そうかな?」と「ありがとう……」、「みんなに褒めてもらえると、僕は嬉しいよ」と歓喜の声が漏れるのだ。


 の最中にね。


 でも時間が少し経てば。


「あっ、いっ、いて、いて、てててぇ……」と。


 健太が急に、自身のお腹を両手で押え、唸り始めるのだよ。


「ぼ、僕……。急にお腹が痛くなってきちゃったよ。うぅ、ううう。苦しい。苦しいよ……」


 健太は自身のお腹が痛いとお妃様、三人へと訴えかける。


 だからエリエとプラウム、サラの三姉妹は、自身の顔色を変えながら。


「お、御方大丈夫か?」

「け、健太さん……」と。


 エリエとプラウムに二人が慌てて自身の大事な主の許へと詰め寄れば。


「け、健ちゃん、もしかしてまた水に当たったのかな?」と。


 健太がこの世界……。青々と茂る木々しかないこの未開の大地、ジャングルへと女神シルフィーの思惑で、女王一族の婿養子として召喚をされたあの日、翌日に彼は、この集落内で飲んだ飲料水に当たり──嘔吐、下痢を繰り返し、瀕死の重体……。


 いつ他界しても可笑しくない状態へと陥ってしまったのだが。


 そんな彼、夫を女王アイカ含んだ四姉妹、妻で、交代しながら代わる代わる寝ずの看病……。


 その甲斐あってか?


 健太は他界する事なきを終え、無事に済んだのだ。


 だから女王アイカはこんな経緯もあるから最初は健太の事が可愛い。愛おしくて仕方がなかったのだが。


 まあ、今更愚痴を漏らしても仕方がないから話しを進めるが。


 そんな経緯もあるからエリエとプラウム、サラの三人は顔色を変え──健太の傍へと寄り。


 彼の背やお腹を触り、撫でながら様子を窺い始めると。



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