第45話 最弱男王は主夫?(22)
「うぉおおおっ!」
「素晴らしい!」
「何て麗しい……」
「美しいのだ……」
「我らの女神様」
「巫女様」
「シルファーは……」
「艶やかだ」
「妖艶だな……」
「歳をとれば。とるほど我らのシルファー様は、あの神々しい美しさ。麗しさが増しているような気がする」と。
この場、宴の席。
この小さな国に住む老若男女の者達が、シルファーの雪のような白い肌を裸体と余り変わらない容姿で、自身の胸やお尻を官能的、艶やか、妖艶に舞う。踊る姿に歓喜、歓声──。
魅了、虜──。
老若男女問わず各自各々が釘付けになりながら見て堪能を始める。
特に漢戦士達は、自身の顔を緩ませ、目尻を下げながらだらしなく口を緩め、鼻下を伸ばしながら嬉しそうに女神シルフィーの妖艶、官能的な天女の舞を食いつくように見ては、
「おおっ」
「素晴らしい」
「何とも麗しい」と、独り言を漏らしてしまうほど酔いしれ堪能しているものだから。
もう彼らの頭の中には健太と女王アイカの中慎ましい様子……。
そう、自分達のもう一人のセックスシンボルであり。アイドルもある女王アイカの柔らかい膝の上……。
この集落に住み暮らす漢戦士達みなの願望の一つである女王アイカの柔らかい膝の上に自身の頭を乗せ、「アイカさん。アイカさん。痛いよ」甘えながら悲痛表情、声を漏らながらお腹を押さえる健太と。それは不安、動揺を隠せない表情で見詰めながら。
健太の頭やお腹に手を当て、優しく撫で労わる。いかにも中慎ましい夫婦の様子を凝視しては漢戦士達、各自各々が。
「歯痒い。歯痒い」
「人種」
「弱い種族の癖に生意気だ」
「何が、お腹が痛い、だ。あれは只単に俺達の女王アイカに甘え、戯れているだけではないか」と。
彼らはこの世界、この土地、この小さな国で生まれ育った者達だから水や食に当たり腹痛、嘔吐すると言うことが、死に繋がることもある大病だと知らない。わからないから。不満や不服、嫉妬心を募らせることしかできないでいた。
でも彼らの目にはもう既に健太と女王アイカの中慎ましい様子が目に、瞳に映ることはなく。
彼らはシルファーの裸体に近い優艶な容姿を己の目、瞳に焼きつけ、酔いしれながら脳内保存をする方が忙しくて仕方がない。
そのことが賢い女王アイカには直ぐにわかり。悟ったから。
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