第44話 最弱男王は主夫?(21)
この小さな国一の女神さま、巫女、シャーマンさまが女神の笑みを浮かべみなに告げる。嘆願をするものだから。
新たな男王健太の嘔吐、腹痛──地面に転がり。お腹を押さえ転がる。のたうち回りながら。自身の痛みに耐えかねる痛々しい様子を凝視した。
だから今の今まで、自分達の顔色を変えながらこの世の終わり。国の終わり。自分達一族の終焉がくる。きたのではないかと嘆いていた老若男女、子供に至るまで、だけではないようだね?
そう、エルフの女神シルフィーの美の美しいお姿を見て確認すればわかる。理解ができると思う。
彼女、シルフィーは、義理の娘である女王アイカよりもこの集落に住み暮らす男達。老人から若い者に至るまで、未だセックスシンボル、アイドルとしても人気が上であり。崇拝、奉り。拝む者も多々だから。
若い漢戦士達も麗しい女神さまが艶やかであり。官能的な舞を魅せてくれると言えば、これ以上この祝いの宴に対して難癖をつけ、混乱へと陥れ、集落に住み暮らす老若男女、子供達に対して不安を煽り。暗い気持へと誘うような悪態をつきたくはないので、各自各々が笑みを浮かべ、両手を合わせ、リズムよく手を叩き奏で始める。
だからシルフィーは若い漢戦士達へとお礼。謝礼を込めて、チュと投げキスを放つ──。
すると御覧の通りだ。
「うぉおおおっ!」
「やったぁあああっ!」
「俺達!」
「儂達の女神様がやっぱり一番だぁあああっ!」と歓喜──。
更に若い漢戦士達は大喜びをしながら各自各々が自身の口を大きく開き。
「すいません!」
「ありがとう!」
「アイラブユー」
「愛しているよ。シルファー!」
若い漢戦士達の中からお礼、愛の告白までする者達まで現れるから。
新たな男王、失態をした健太のことを、薄ら笑いを浮かべながら侮り。蔑み。罵りながら不安を煽り。扇動、誘っていたウォンは面白くはないので、「チッ」と舌打ち。「ペッ」と、地面に唾を吐く悪態をついて反転──女神さまと二人の様子……。
自身のお腹を押さえながら。
「アイカさん、痛い。痛いよ。お腹が痛い。痛いよ。助けて」と泣き叫ぶ、健太の頭を起こしながら。
「大丈夫だ。健太。しっかりしろ」と、労りある言葉をかけながら。
自分自身の柔らかい膝の上に乗せ、お腹を優しく撫でながら介護をしている。
ウォン自身の幼い頃からの元カノであり。婚約者。
ウォンの所有物だったはずの女王アイカと。
自分から愛しい
オーク種族最強の漢戦士ウォンは、この場を後にする。
「ウォン、何処に行くのだ?」
そんな彼、哀愁を背から漂わせるウォンに対して、気がついた者が声をかけると。
「……ん? ああ、俺は、こんな茶番劇など付き合ってはおれん。面白くはないから屋敷に帰る」と呟く。
「そうか、じゃ、明日な。気を付けて帰宅をしろよ」と。
哀愁漂わせるウォンの背に声をかけた男戦士は優しく告げる。
「ああ、ありがとう……」
ウォンはお礼の言葉を返すと暗闇の中に消え、姿が見えなくなる。
そんな二人の会話様子をシルファーや女王アイカは聞く耳を立て見詰める訳でもなく気にも留めないで。
女神シルフィーは。愛おしい女神さまとみなが褒め称え、歓喜する。酒の席によく似合う。艶やか、優艶な舞を踊り。披露し始めるのだよ。
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