第84話 困惑する酋長……(8)

 女王アイカの話し、説明を聞いた者達は、ザワザワと静かに騒めき始めだすのだ。


 特にこの場にいる若い漢戦士は「よっしゃ!」、「やった!」、「やりー!」と、自身の拳を握りガッツポーズを決めながら歓喜する者達や自分の周りにいる者達の顔を見合わせながら満身の笑みを浮かべ喜びを共用する。


「これで女王が俺達の許に帰ってきた」

「ああ、酋長はまた俺達の物だ」

「ああ、アイカ様~」と。


 自身の両手を合わせ、目を虚ろ。顔は桜色に染めながら女王アイカのことを見詰めながら拝む者まで現れるほど歓喜する。


 でも彼等、若い漢戦士の歓喜は独り身の女王へと戻ったアイカへと注がれるだけではないのだ。


「シルフィー様もこれで晴れて独り身となった。だからシルフィー派の俺も少しは夢と希望が持てる」

「ああ、確かにそうだな」

「ば~か。シルフィーだけではないぞ。エリエやプラウム、サラ、ウルハ等の女王の一族の器量良しが、皆揃って独り身の女に戻ったのだぞ。だから俺達も以前のように麗しい女王の一族の女達を嫁にできる。迎い入れる夢や希望が持てるようになった」

「ああ、そうだな。お前の言う通りだ」

「よっしゃ! 今日から俺はプラウムにアプローチを始めるぞ!」

「俺はウルハだ!」

「俺はエリエのあのツンと鼻の高い所が良い」

「儂はサラだ。サラのあの無邪気な所、笑みが大好きだ」

「ああ、これで俺家の母ちゃんが帰ってくる」

「家もだぁ。家も女房が多分帰ってきてくれると思う」

「俺は彼女だ。あのチビに盗られた俺の大事な宝物がやっと帰ってくるよ」

「ああ、そうか。それはよかったな」

「うん、うん。良かった。良かったよ。これで元の暮らしに戻れる」と。


 先ほどウォンに健太への不満、愚痴を漏らしていた若い漢戦士達みなが仲良く揃って歓喜をあげるのだよ。


 女王アイカだけではなくて、今の今まで男王だった健太の自称妻も含めてこの度の騒動での称号がなくなり平民へと降格が決まった彼の妻でいることが不可能になるから歓喜! 満身の笑みを浮かべながらみなが喜びあっているのだ。


 以前にも少し説明をしたと思うのだが、オークの社会は女尊男卑思想であるから。より良い子孫を残すために女性達のハーレム、夫以外の男達を囲うことは可能なのだが。


 男性のハーレムは、男王以外は禁止なのだ。


 だからウルハ達やその他のヤンキー姉ちゃん達への嫉妬心を募らせ、あらわにした女王アイカは健太の持つ男王の称号を取り上げ一般の男……。只のへと降格させてまた彼女が健太のことを独占しようと試みる策へとでたようなのだが。













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