第83話 困惑する酋長……(7)

 これが健太の産まれ育った異世界の国、日本の最高の詫び、謝罪方方法だと常日頃から聞いているアイカは、自身の夫が自分へと真剣に詫び、謝罪をしているとわかる。悟っているから。彼の意を汲み取ると。


「うむ、健太分かった。わらわはあなたの意志を尊重、意見を採用するから頭をあげろ。わらわは我が夫の意を汲んでサラやウルハに対して罰を与えるような事はしない」と。


 女王アイカは健太から周りの者達……。この場に集いし者達のことを自身の目を細めながらぐるりと見渡し見詰めながら。この度の両雄の喧嘩、争い。騒ぎに対して二人ともお咎めなしと大岡裁きをしてみせてくれるから。


 女王アイカの意と言葉を自身の耳で聞いた健太はホッと、自身の胸を撫でおろし安堵するのだ。


 彼は自身の心の中で(よかった。よかった)と、思いながら。


 でもこの小さな国、集落の女王さま、酋長さま、アイカさまの艶やかな唇は未だ閉じることをしない。


まあ、しないのだよ。


 だって彼女は、自身の周りを見詰め終われば、また健太へと視線を変え。


「この騒ぎの全責任を自分が取ると告げた我が夫健太の男王の称号を没収し。我と健太は今日を持って離別、お互いが寝所を一緒にしない別の屋敷に住み。健太は通い者の身分へと降格させることにする。これでよろしいなぁ。皆の物」と。


 女王アイカは凛とした姿勢。威厳のある態度で元男王へと告げれば最後には、この場に集いし者達、民へと。自身の主、夫の事実上の別れ、離別、離婚宣言を威風堂々と告げて魅せる。


 そう、彼女、女王アイカは以前にも、義母であるシルファーの寝所を襲い。夜這い結婚を強引におこなおうとした元彼、婚約者と彼女は嫉妬心から離別、離婚と言ってもよい別れをした経歴の持ち主だから。


 自身の許可なくウルハやその他のアマゾネス達との結婚を了承した夫、健太のことを彼女は安易に許す訳もなく。


 この場にいる者達へと健太との離別、離婚宣言をしてみせるのだよ。あの男、ウォンの邪な策にかかり。彼の思惑通りに嫉妬心の強い彼女は安易に行動をしてしまう失態を犯してしまうことになる。


 でも、今はそれを説明、話す時ではないので、また機会があれば話し、説明をすることにするとみなに告げ、説明をしたところで話しを元に戻すのだが。







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