第82話 困惑する酋長……(6)

 だからこの場の雰囲気、様子を沈黙しながら窺っていた三女のプラウムの口が開き。


「アイカ姉さま、ウルハ、二人とも」と、彼女は自身の顔色を変えながら慌てて二人の睨み合いの間に割って入ろうと試み始めだすのだ。


(えっ? もしかしてアイカさんとウルハさんが喧嘩に?)


 プラウムの悲痛な声音に近い二人への叫び。呼び止めを聞いた。耳にした健太は、自身の脳裏で思えば彼は、今まで俯いていた顔をあげ、アイカとウルハの様子を交互に見詰め様子を窺うと自身の顔色を真っ青に染めてしまうのだよ。


 自身のお妃さまであるアイカと、健太が彼女の下着や衣服を何度も洗濯をしたから何故か妻だと言っていたウルハの二人が離れた位置で自身の目を細めながら対峙──。


 ガンのつけ合い。飛ばし合い。今にも荒々しいおこない。行為。喧嘩、戦いを始めだしそうな物々しい様子──。一触即発状態だから健太は自身の顔色を変え、『どうしよう? どうしたらいい?』と困惑しながら悩むようなことは流石に彼も。健太自身もしない。


(このままアイカさんとウルハさんの睨み合いが続けば遅かれ早かれ、二人が争いを始めだして大変なこと……。僕の不祥事で起きたこの騒動。サラちゃんとウルハさんの喧嘩が本当に大変な騒ぎになり収集がつかなくなるから。アイカさんとサラちゃん。そして何故か僕の妻だと言っているウルハさん達との間にできているわだかまり。一触即発状態を夫である僕がとめて収集しないといかないよね)と、健太は決意を固めると。


「うん」と頷き。


「アイカさん?」と、健太は自身の妃へと声をかけ。ウルハとの対峙、睨み合いを中断、制御させる行為にでると。


 アイカは直ぐにウルハから健太へと視線を変え、怪訝な表情で「健太どうした?」と、言葉を返してくる。


「あのね。サラさんとウルハさんの喧嘩は、僕がオーク種族の婚姻のしきたりが分からずにウルハさんやこの場にいる人達の下着や衣服の汚れ物を軽率に洗濯をしたのが原因だから。僕がみんな悪いんだよ。だからサラちゃんやウルハさん。僕の周りにいる人達は悪くないのだからみんなを叱らないでよ。みんなの罪、罰は僕が全部受けるから。これ以上ウルハさんやサラちゃん、みんなのことを睨まないでよ。おねがいだ」と。


 健太はその場で、自身の産まれ故郷の、最高の謝罪法であるを女王アイカへと、こちらの世界にきて何度目になるかわからない謝罪をおこなうと。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る