第644話 逃走?(5)

 そう、オーク種族の優秀なシャーマンである比の国女王レインは、オーク種族の女性であるにも関わらず、大変に甘え上手で優しく。彼の、健太の、過去の回想シーンを思い出してもらえればわかる通りだ。


 彼、健太は、自身のライバル、そして、この世界の自分であるウォンに妻であるアイカを寝取られている訳だから。彼自身の心の奥底で傷ついている。……だけではないか?


 彼は、健太は、アイカが浮気相手であるウォンと、自分自身を暗殺、亡き者にする会話、密談、相談をしている。していたと思っているからね。


 だって彼はところどころ、二人の会話、密談を変な聞き方を健太自身はしているから。


 この世界のシルフィーこと、アイカのことを健太は信用していなし。またそんな彼女へと、自分自身を強引に婿入りさせた自身の本当の正室、妻であるシルフィーのことが気に入らない。猜疑心と不満、憎悪だけ募らせたのが、今までの回想シーンと話し。そして今の健太の心情、状態だから。彼自身は、何だかんだと言っても、心に大きな傷を負っているのだ。


 だから傷ついている己の心を優しく労い。労り。癒してくれるのに丁度良い。都合の良い女性候補に選ばれたのが、オーク種族としては珍しい。甘え上手な上に、慈愛に満ちた女神のようなタイプ。根っからのシャーマンである女性……。



 そう、この世界のシルフィーはアイカではなく、彼女、比の国のレインなのでは? と、傍から見ても思うほど、健太の正室であるシルフィーと類似したタイプ。良く似たタイプの妃であるレインを頼ろうか? と、思案をする。続ける。健太なのだが。


「う~ん、まてよ?」と、彼はなるのだ。なるのだよ。




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