第88話 孤立 (3)
「えっ! いや、ごめんなさい。僕は洗濯しにいかないといけないから忙しくて……。だからごめんなさい。僕は先を急いでいるので、すいません」と健太は、自身のことを、苦笑を浮かべ手招きをする漢戦士達複数へとペコリと頭を下げると慌ててこの場から立ち去ろうと試みる。
でもね、若い漢戦士は、沢山のアマゾネス達から男王の称号がなくなっても未だに好意を抱かれている人種の健太のことが気に入らない。憎くて仕方がない。もうそれこそ亡き者、骸にしてジョングルの奥地へと放置、破棄したいほど、この小さくて可愛い象牙色の肌を持つ女の子のようなか弱い少年に対して嫉妬心を募らせているようだから。
女性の嫉妬心も大変に怖く、恐ろしいものだが、男性達の嫉妬心。好きな女性が自分の物、所有物にならない時の彼等の嫉妬心も大変に執着した恐ろしいものだ。
だから若い漢戦士は彼を、健太のことをこの場から安易に逃がす訳はなく。
「お~い、健太~。何この場から逃げようとしているのだ」と、この場から慌てて逃げる。逃走を図ろうとする健太の前にグラディエーターが一人、立ち塞がり。関所、壁になれば。
「おいおい。逃げるなよ。チビ。俺達がわざわざお前の事を強力、強くなるよう鍛えてやるといっているのだから。チビは感謝しろよ」と、健太の後ろ、背、背後からまた数人のグラディエーター達が歩み寄ってくる。
だから自身の顔色を変えている健太は畦道の横へと身体の向きを変え──瞬時、咄嗟に逃げる。逃走を図ろうと試みるのだが。彼の大事に抱える洗濯籠を瞬時に漢戦士の一人が上から見下ろすように両手を伸ばし籠の両端を握られ、掴まれ、奪われると。
「ほうらぁ~、健太~。格闘、近接戦の練習だぁ~」
自身の口の端を吊り上げ嘲笑い。小さな彼の背をドン! と、強く押す──。
まあ、押すから。健太の顔は悲痛な顔へと変化し、「わぁあああっ!」と絶叫を吐きながら地面へと倒れ込んでしまうのだよ。
「いっ、っぅ、痛たたた」と悲痛な台詞を漏らしながらね。
でもさ、いくら平民の位へと落とされても、未だにこの集落内の麗しく美しいマドンナ、アイドル、セックスシンボル、女王アイカの可憐な一族の女性達を独占した状態へとなっている健太のことを漢戦士、グラディエーター達の嫉妬心からくる憎悪は、彼のことを安易に許す訳もなく。
「健太、何いつまでも転がっているんだ。早く立てよ」と、漢戦士達の一人が、地面にカエルの如き転がる健太を苦笑を浮かべながら見詰め、自身の身体を屈めながら彼の髪の毛を鷲掴みで掴み握ると。
そのまま強引に健太の小さな身体を持ち上げるから。
「いっ、痛い。痛いよ。僕の髪の毛を握り引っ張らないでよ」と、健太は己の顔を歪め、辛そうな顔で、自身の地面に転がる身体を起こしながら酷いことをしないで欲しいと嘆願をする。
でも男盛りの彼等には、未だに彼女もいなし、嫁の着て、夜這いのお誘い。許可もでないから健太のことをこれぐらいの、彼の軟弱な身体を鍛える。強くすると言った表向きの虐め行為を若い漢戦士達はやめる気はないから。
「ほらぁ~。大きな木切れだ。お前にやるよ」と、ケラケラ笑いながら健太の髪を握ったまま別の漢へと放り投げる。
「うわぁあああっ!」
だから健太の口から当たり前のように絶叫が放たれながら彼は、別の漢の前へと飛んでいく。
〈ドン!〉
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