第647話 逃走?(8)

 と、言うことだから。彼、健太は? 祭典での比の国の女王レインとの一晩、その場限りの淡く、甘い。蜜のような恋。二人の荒々しく燃えた恋は、その場限りの夢幻。桃源郷、極楽浄土だったと諦めることにする。


 また彼が、健太が、己の心の中で、そう決めた。こう決めたと言うことは? 


 彼は、健太は、比の国の女王レインのことも、此の国の女王アイカやジャポネのシルフィー同様に自身の正室である二人同等に。女性、妻としては信用をしていない。異性に対して淫ら、だらしのない女性だから、己の家庭を守ってもらう女性には値しない妃達だと思っているようだね。健太自身は……。


 と、なれば?


 彼、健太は、「(どうする?)」、「(どうしようか?)」と、己の脳裏で思う。思案を続けながら歩き続けるようになるのだが。


「う~ん、どうしよう? 何処かに……。何処にいこうか……」と。


 独り言を漏らす。漏らしながら。とにかく歩き続ける健太なのだよ。


『さてさて、どうしよう?』、


『どうしたらいい?』と。思案、検索を続ける彼、健太なのだが。


「あっ?」、


「そうだ!」


「そうだ! そうだ!」と。


 急に歓喜をあげる健太なのだが。一体彼に何が起きた? 起きたのだ? 


 彼、健太が急に声をだいにして叫ぶから正直驚いた。驚愕をしたのだ。彼の周りで静まり返っていた鳥や小動物達も、慌てて飛び立つ。走り出す。始めるくらい。大きな声音で喜びを表現する健太だったのだ。



 ◇◇◇◇◇

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