第192話 少年はまた猜疑心ばかり募らせる(4)

〈トッ、トトト……〉


 足音を立てずに抜き足差し足とウォンの屋敷の周りを中にいるかもしれない自身の妃アイカや間男ウォン……。


 そして彼の近所に住む者達に健太は悟られないようにしながら彼は、自身の聴覚を研ぎ澄ませながら、聞く耳、立て──忍び足で歩き。丸太を加工してできた高床式住居の中にアイカとウォンが居るのかを窺いながら歩いてみた。


「…………」


 でもこの通りだ。健太がウォンの屋敷を注意深く、聴く耳、立てても室内には誰もいない。


 そう、もぬけの殻だった。


 だから健太は自身の脳裏で、


(ウォンさんの屋敷の中にアイカさんとウォンさんの二人がいない。会話が聞こえてこなかったから本当に良かった)と思い。


 彼は『ホッ!』と胸を撫でおろし。安堵感に浸る。


(よーし、アイカさんはみんなの言う通りで、本当におばば様達のところにいって、この集落の政務をおこなっているようだから。僕も神殿に戻って主夫業を再開しようか)と、健太は満身の笑みを浮かべながら、自身の脳裏で呟けば、その日のお昼はウォンの屋敷を機嫌よく、日本のグループアイドル達の歌を口ずさみ、鼻歌交じりで後にして──。


 自分達の神殿、愛の巣へとスキップ、ランランと御機嫌麗しく帰宅の途に就き──神殿へと帰宅をすれば。


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