第12話 女々しく、弱々しい男王の誕生(1)
「うぎゃぁあああっ! 痛い。痛いよ。アイカさんやめてよ。お願いだぁっ!」と、涙を流しながら叫び、嘆願。自身の妻、妃である女王アイカへと許しを乞う健太なのだ。でもね、彼の、少年の押しかけ女房であるはずの彼女、女王アイカ……。
本来ならばここは、この場面は、普通の異世界ファンタジーのラブコメ、恋愛話だと主人公とヒロインの初めての淡い。甘い出逢いである訳だから二人が自身の顔を桜色に染め照れ恥ずかしそうに『ポッ!』となる。
それも俯き加減で『ポッ!』とする和気藹々な主人公とヒロインさまとの出逢いの場面のはずなのだが。
みなも知っての通りで、当の主人公さまが余りにもか弱い……。
そう、貧弱、貧相、情けない男、少年。僕ちゃん過ぎるからヒロインさま。この集落の酋長、女王さま。そして由緒正しい戦闘民族、部族、種族であるオークの女王アイカは、自身の婿殿、夫。この集落の男王の本当に細い首を噛んだ。噛みついてみせ叱咤激励した。したのだが、ではなくてね。
一度は噛み。噛みつき終えてね、自身の
女王アイカは『カッ!』だ。カァ~と、己の気が更に荒々しくなり。高ぶってしまい。再度自身の情けない夫健太の喉元を噛みついたのだ。それも今度はね、自身の両腕でと身体で力強く健太のことを抱き、取り押さえながら『グル、グルルル』と、唸り声を漏らしながら。
「煩い! 黙れ! 黙れぇっ! この軟弱男がぁっ! もうわらわは許さん! 煩ないからな、健太のことをなぁ(グル、ガフ、ガフ)」と彼の、夫である健太の喉元を噛み続け、離さないのだ。如何にも自分の
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