第16話 最弱男王の異世界ライフの始まり(2)

 瀕死の状態、虫の息で、「ひい、ひい」と声にならない掠れ声で、息をしている、していない、のかすら、わからない健太。顔色の方も完全に青ざめ、血の気がない。引いていたはずの健太の顔色の方も赤みが戻りさしてきた。


 となれば、彼の息遣いの方も「ふぅ、ふぅ」から更に「すぅ、すぅ」と、寝息のような息遣いを未だ幼さも残るの東アジアの可愛い顔の少年がする。しながら彼は、本当に寝息を立て睡眠を始める。しているようだから。


 この場にいる麗しいオークのお姉さまとお嬢さま、少女達はホッと胸を撫でおろし安堵……。



 三人は声を揃えたように「はぁ、よかった」、「もう大丈夫そうだ」、「これで一安心だね」と安堵した顔、表情で健太に治癒魔法をしていた三女のプラウム、次女のエリエ、最後に末の妹であるサラの順に笑みを浮かべ安堵感に慕る声音で声を漏らしていく。


「済まない。わらわが悪かったよ。三人共……。ついつい男王らしくない振る舞い。弱々しく。女々しい健太のことを凝視していたらわらわ自身が『カッ』となり。己の気を荒々しく高ぶらせてしまった。しまったから。異世界召喚したばかりの幼い婿殿を殺傷、殺してしまうところだったよ。本当に済まなかった。許しておくれ」と、女王アイカは自身の妹達三人へと深々と頭を下げ謝罪をしたのだ。


「長、御方は、プラウムの治癒魔法で、傷口も癒えてもう大丈夫のようだから頭を上げてくれ。貴女はこの集落の酋長なのだから。仮に長があのまま御方を殺害、冥府へと誘ったとしても。誰も長のする事には不満を申す。告げたりしないから。貴女はこの集落の象徴でもあり。酋長、女王なのだから。いくら私達が長の実の妹であろうともそんなに長々と頭を下げないで欲しい」と。


 エリエが自身の姉。自分の夫が余りにも情けないからと我慢ができなくなり。自身の夫健太の細い首筋への甘いキス、接吻から急遽、荒らしい噛みつきへと変化させ危うく夫殺すところだった女王アイカ……。



 只今自分自身が健太にした荒々しい行為に対して反省最中の姉のアイカへとが強いオーク種族は、女酋長、女王の意見、行為、行動は絶対的なものなのだからいつまでも自分の実の妹達の前であろうとも弱々しい姿を見せないでいつもの凛と勇んだ神々しい女王の姿を見せて欲しいから頭をあげて欲しいと願えば。


「そうですよ。アイカ姉さま。エリエ姉さまの言う通りです。健太さんはわたくしでもう完全に傷の方は癒され、完治しているので大丈夫ですから。アイカ姉さまはいつまでもわたくし達姉妹へと頭をさげたままでいないで顔をあげてください。アイカ姉さま」と、次女のエリエに続くように三女のプラウムが、自身の夫でもある健太の小さな頭を膝枕したままの状態──彼の頭を優しく、愛おしく撫でながら女王アイカへと告げれば。




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