第114話 覇王ウォン! (2)
それも女王アイカは元男王である健太の物、所有物ではなく自分が王、覇王なのだから。
アイカは自分の所有物、妻、妃なのだと言う。告げる。
この集落の者達が大半集まる中で言い切り。王、覇王宣言とも呼べる台詞を勇んだ様子で大きく、高らかに叫ぶ、咆哮してしまったのだ。
だからウォンとウルハにアイカ、健太と。この集落の主要人物でもある四人の動向を窺いながら見ていた観衆達が、急にヒソヒソと小声……。
「ウォンがあんな事を言っているのだが、言わせておいて良いのか?」
「またあいつ、ウォンの奴は懲りもしないで集落の掟を破り。ウルハに対して酷い事を情け容赦なく。それも不意打ちでしたけれど。このままあいつを放置……。ウォンの好きにさせても良いの?」と。
観衆達の騒めきの中からこんな台詞やその他の台詞……。
王道を壊し、破壊をして覇道を強制的に布こうとしているウォン対して同じ異性である漢戦士達、グラディエーター達も不満を漏らし、騒めき始め。喧騒へと移り変わるのだが、直ぐにこんな言葉、台詞が飛び交い始めだす。
「じゃ、お前がウォンの許へと行けよ」
「えっ、俺が?」
「ああ、お前だよ。お前がウォンの許へと行き。あの暴虐舞人な振る舞いをしているあいつの事を止めろよ。今直ぐに」
「えっ! 俺が一人でぇっ? 無理だよ。俺一人じゃとてもじゃないが、荒ぶれているウォンを止める事等出来ないから。お前達もついてきてくれよ。お願いだ」
「えぇええ、俺も嫌だよ。後で……。そう、この騒ぎが収まった後でウォンに俺は睨まれるのが嫌だから行くのは嫌だ」
「俺達じゃ束になってあいつ、ウォンに殴りかけても敵わないよ。だから無理だ」と。
漢戦士、グラディエーターは、ウォンに対して敵わない。無理なのだと。
自身の顔色を変える者達や肩を竦める者、自身の身体を震わせて怯えだす者達ばかりで、ウォンの暴君、傍若無人振りを力づくで、止めよう。制御。取り押さえようと言う者は皆無で誰もいない。名乗りでないから。
「あんた達、男だろうに、本当に情けない奴等ばかりの、どうしようもない奴等ばかりの集団だね……。誰か一人ぐらいはウォンに逆らい。楯突いて。あいつ、ウォンを取り押さえて、ウルハを助け出してやるのだと勇んだ台詞、言葉を吐く。放つ者。漢らしい男はいないのかい?」
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