第379話 帰宅(二部あとがき)(3)

 う~ん、でも? エリエ自身も姉に、健太のことで怒号を放たれても困る。


 だって女王アイカ、同じ屋根の下で暮らす者達の前で、王である健太のことを『あのひと』と、呼んだことはないのだ。


 だっていつもアイカは自身の王である健太のことを蔑んだ瞳で見詰め『健太』と、名指しで呼んでいたのだ。


 だからアイカが自身の顔色を変え、慌てふためきながら『あのひとは?』と、訊ねられても。エリエ自身も誰のことをアイカが言っているのか理解ができない。


 ましてや? 集落の大惨事から数週間しか経っていない今日この頃だから尚更理解ができないでいる。


 だってこの屋敷内にその時の当事者である健太とウルハの二人がいない訳だから。


 それに? エリエ自身も姉のアイカは、健太ではなく。武力に長けているウォンを王に据えたいのではないかと? と、思っているので。


 アイカの言う『あのひと』が、異性のことならば、健太とウォンの二人がエリエの選択幅になるから。

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