第637話 ウォンの誤算……(31)

 女王アイカは、己の涙で一杯に濡れた紅の瞳でウォンのことを睨み、睨みつけながら。絶叫交じりの声で叫びながら抗い。己の両足と両手で、幼子のようにバタバタと、バタつかせ抗い抵抗を試みているようだけれど。


 そんなことをしないでキリッと、その場に凛、威風堂々と立ち上がり。己の本当の力と武を使用すれば、いくら漢戦士最強のウォンに対してでも、彼女。女王アイカは、自分の肢体と交わり。己の子孫を残したいと、強引に力強く。欲している。要望をしている漢、ウォンを撃退できるはずなのに、何故? その場から一気に立ち上がり反抗を試みようとしないのだ? と、言いたい。申しつけたい衝動に駆られるのだが。


 こう言った場面……。自然の摂理、繁殖、交尾に至るまでのオスとメスなのだが。


 今迄メスに媚びを売っていたオスの方も、何故か繁殖期には急にオスは荒々しくなり強く。


 そう、未知のパワー、火事場の馬鹿力と言う奴を発動して、強引にメスを己の物としてしまうのが、自然界の摂理であり。ウォンは健太に対して勝者になった訳だから。


 でっ、逆にメス、女性の方なのだが。発情期、発情、繁殖シーンを迎えるまでは、オスに対して平然と牙と武、力を魅せつけ駆除若しくは? 従わせることも可能、できた。できてきたはずなのに。何故か? この繁殖シーンに至る段階までいくと、己の牙や武、力を破棄してしおらしく、メス、女、女性へと変化をしてしまう。あの百獣の王ライオンや伝説のドラゴンまでもがね。


 だから女王アイカも抗っては見るのだが、繁殖期のオスと化しているウォンのことが、自然の摂理の為に彼女は怖い。畏怖している状態だから。自分自身の身を守るための防御策として、幼子のような抗い。抵抗しかできないでいるのだ。


 女王アイカはあくまでも女性だからね。




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