第29話 最弱男王は主夫?(6)

 彼の、健太の予想に反する物をね。


 と、なれば? 健太の、彼の「えぇっ!」と大きく開いた口が、驚嘆が漏れた口が閉まらない状態へとなる。堕ちるから。


「……ん? どうした。健太?」と。


 彼の女王さま、麗しいアイカさまがキョトンと可愛く己の首を傾げ始めるのだ。


 そんな可愛く。あどけない様子を見せる。魅せてくれる妻、妃の顔を見れば健太自身も、己の顔を緩め鼻の下を長く伸ばし。伸ばしながら。


『女王さま。ハッ、ハァ~』と。


 彼、健太もその場に座り込み正座。自身の両腕を天空へと掲げ、大袈裟なくらい恭しく礼──。自分の女神さま、御妃さまを何度も拝み、奉り始める、ことはしない。しないようだ。


 この集落、このオーク種族の男王健太はね。


 だって彼は相変わらず動揺、困惑をしている表情をしながら。


「いや、いや。アイカさん。これ、この毛皮でできた布って一体何に使うの。使用をするの?」と、女王アイカに問いかける。


 でも健太に、自身の主に目の前で、お口パクパクと驚いた顔。隠せない顔で問われた女王アイカの方も、自身の主、夫、健太が何をそんなに驚いているのか理解ができない。わからないでいるから。


「……ん? どうした。健太? 何をそんなに驚いた顔、様子でいるのだ?」と彼女は、また麗しく。可愛く健太に首を傾げ魅せながら問う。


 だから健太は、(うわっ! アイカさん。なんて可愛い顔をするの。そんな顔をされると僕はついついアイカさに魅入り。見惚れ続けてしまうよ)と、彼は脳裏で思うのだが。直ぐにハッ! と、我に返り。


(いかん。いかん。このままではいけない。いけないよ。ちゃんとアイカさんにこの布……。多分、雑巾ではないかと思われる物をなにの、なにをするために使用をするのかを訪ね。聞いてみないといけない。いけないよ)


 健太は自身の首を振り。振りしながら己を自戒、諫めると。


「えぇとアイカさん。これは、この布切れは一体なに使用をするのかな?」と、問う。


「……ん? その布切れを何に使う。使用するって、わらわに聞き、尋ねなくても健太。それぐらいのことはわらわに尋ね。問わなくても。自分自身でわかることだとわらわは思うのだが? 違うか、健太? もしかして健太、あなたが生まれ育った世界、国では、自分達が生活を営み暮らしをする屋敷の片づけ。掃除の方を全くしないでゴミや埃が散らかり溜まった屋敷、部屋で平然と暮らす生活をする。営むのか?」と。


 女王アイカは健太に対して苦笑いを浮かべながら問いかけ始める。


「汚いな、健太の暮らしてきた世界は……」と言った。健太のこと、のことを嘲笑う言葉も女王アイカは付け加えながら言葉を返した。


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