第49話 最弱の男王はオークの種族の習わしと掟を知らないようだ(2)
だから誰がくる。今から通り過ぎていくのだろうと思いつつ道の先をこの場にいる。集っている女性達と首を長くしながら待つことにする。と、思えば。
あれ、あれ、あの軟弱、貧相──自身の鎖骨、肋骨、薄い胸板を曝け出した様子……。
それも自身の両腕で、彼の愛妻、妃の一人であるフラウムが夫が立派な主夫になるためにと真心込めて、シダ科の植物だろうと思われる木や草の葉、皮を編み。手作りした大きな籠を両腕、手、掌を使用しながら抱え歩く。歩行をしているようなのだ。
この小さな国、集落の男王健太はね。
それもさ、彼は大変に不機嫌極まりない表情、様子でいるようなのだ。
だって彼の口からは、ブツブツと独り言。不満を漏らしながら歩いているようだからね。
「なんで僕がアイカさんやエリエさん、プラウムさんやサラちゃん以外の
健太はこの通りの様子でね。不満がありありの顔、怪訝な表情で嘆き、呟きながら。
彼の前方、行く先には、麗しい乙女化した女性達の壁があるとも知らずに歩行を続けている。
ついでにこんな言葉、台詞もつけ加えながらだ。
「う~ん、それにしても、シルフィーさんて大きな子供が二人もいるようにはとても見えないよね。あの容姿と美しさは。僕のアイカさんやエリエさん。娘のプラウムさんやサラさんと比べても本当に姉妹にしか見えないぐらい若くて美しいものね……」と。
健太は真っ青な空を眺めながら呟き、『フム』と少し考える顔をしながら更にこんな言葉も漏らし始めるのだ。
「まあ、シルフィーさんは、精霊種のエルフだから長寿種になるので、大変に若く見えることは仕方がないことかもしれないけれど。それにしてもシルフィーさんって本当に女神さまのように綺麗だからもしも女神さまが地上に降臨。本当にいるとするならば多分シルフィーさんみたいな女性だよね。きっと。うんうん」と、健太は頷き。
「そんな女神のように美しいシルフィーさんが洗濯を終えて僕が手渡すといつも『あなた〜、チュ。愛しているは〜』と、キスをしてくれるから僕はなんだかんだと言っても。実は密かに嬉しい。嬉しいのだ。でっ、ヘヘっ」と。
健太が今度は自身の顔を緩ませ、鼻の下を伸ばしながら締まりなく薄笑いを浮かべ歩いていると。
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