第48話 最弱の男王はオークの種族の習わしと掟を知らないようだ(1)
「ああ、きた。きた」
「きたよぉっ!」
「やっときたぁっ!」
「姉さんきたよ。あのひとがぁっ!」
「家のひとがぁっ!」と。
う~ん、何? 何だろう?
先ほどから集落内にある道……。
まあ、道と言ってもこの小さな国、集落の男王である健太が産まれ育った近代日本の町中にあるアスファルトで奇麗に舗装された道路や歩道とは違い。
田舎や田園風景によく見られる田畑の横にある道幅の狭い舗装も何もされていない。足元には背の低い草が多々生えているような畦道と呼んだ方がよいかもしれない道の一つでね。
何だか慌ただしく騒めきと喧騒がワッと聞こえてきた。
それも女性達の大変に御機嫌がよろしい。嬉しそうな黄色い声音で聞こえてくる。
だから何だろうと思いつつ、女性達の声がする方へといく。いった。到着したらね。
何とそこには、オーク種族のうら若き乙女から淑女のお姉さま達に至るまでがそわそわと落ち着きなく、遠くを見るような眼差しで畦道を塞ぎながら先を眺め様子を窺っているのだ。
それも大変に落ち着きなく、嬉しそうに立ち並んでいるようなのだよ。
そう、その場に集う未だ年増もいかぬ少女から淑女のお姉さまに至るまでが自身の顔を、頬を、乙女のように桜色に染めながら普通に見詰める者や、自身の頬に両手の掌を当て嬉しそうに見詰める者。
その他にも、余ほど彼女達がきたら大変に嬉しく、歓喜、失神をしてしまうほどの者が来るのだろうか? と思える者を待つ麗しい乙女化した御姿が多々……。
自身の優艶な身体の前で両手を組、己の肢体をくねくねと官能的。でも照れ恥ずかしそうに動かしながら見詰める者達も含めて、この小さな国、集落の女性達みんなが集っているのではないか? と、思われるぐらいの女性達の姿容姿が多々目についた。
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