第47話 最弱男王は主夫?(24)
まあ、とにかく、こういった出来事がアイカ姉妹の結婚初日から起きた。逢ったから。
女王アイカも含めてエリエ、プラウム、サラも、夫健太に対して寛大な処置どころの様子ではないか?
大変に蜜やケーキのように甘々とした様子……過保護へとなる。陥ってしまったという訳なのだ。
だから女王アイカが酋長の夫らしく。この集落の漢戦士達の見本となるような大変に素晴らしい主夫に健太をさせようと試みた。下知をくだせば。
彼の様子は冒頭シーンからの通りで、『えっ!』と驚嘆は吐くは、気だるげに『はぁ~』と溜息を漏らすは、『そんなぁ~、この神殿を僕が一人で掃除をするの……うそでしょう?』と大変に不満のある顔で女王アイカに不満を漏らし、逆らう悪態をついたのだ。健太はね。この女尊男卑思想の強い種族、国の男王なのに悪態をついたのだから大変なことになる。
だって女王アイカは女尊男卑思想の象徴であり。セックスシンボル、アイドルさまなのだから。
そんな麗しく、凛々しく、神々しい彼女の、只の物、所有物、財産が、主に逆らったのだ。
また主さま、酋長さま、女王さまは、それを良とは思わないし。
彼を、夫を、自身に楯突いた。逆らった。反逆の意を示した男王健太に対して、このまま彼女は素知らぬ振りで放置をする訳にもいかないし。その気もないようなのだ。
どころか?
(くそ、健太は男王、夫の分際で、女王であるわらわに対してアイツ……。ウォンと同じように、主であるわらわに一度でも楯突いた。逆らってきた。だから許せない。許す訳にはいかない。殺してやりたい。殺してやる)と。
女王アイカは健太に対して憎悪、殺意を募らせてしまう。
と、なれば?
「いいや、駄目だ。健太。わらわは許さない。許さないからな、健太。今からわらわは自分の物、財産へとお仕置き、折檻。しつけと教育をおこなう。おこなうからな。わらわが今まで健太に対して少々甘すぎたようだ。だから今からわらわは、自身の夫、男王である健太に対してしつけと折檻をおこなうのだ」と、彼女が呟くと。
この後健太がどのような待遇、処置に遭うかは安易に推測できてしまう。
〈ガブリ〉
「ガル、ルル」
「ガブ、ガブ」
「グル、ルル。グル」と、女王アイカの口から噛みつく音と唸り声が漏れれば。
「うぎゃぁあああっ! 痛い! 痛いよ。アイカさん。助けてぇっ! 助けてくださいおねがいします。こらえてください~」とお約束ごとが。
そう、この小さな国の男王の絶叫と奇声がね。この神殿の中でいつまでも続き。
最後には「プライム~。健太がぁ~。首から血を沢山流して死にかけているから~。治癒してやってくれぇ~」と、女王アイカのさっぱりと、ぽっきりとした清々しく、晴れ晴れしい声音の叫び、呼び声が聞こえ──。
「きゃぁあああっ! 健太さんがぁあああっ!」と。
血まみれになりながら横たわり。ピクピクと痙攣……。虫の息状態である健太の様子を見て確認したプラウムの絶叫が更にお約束ごとのように神殿内に響いたらしい。
◇◇◇
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