第184話 少年は更に猜疑心を募らせる(6)

「……ん? 男王どうした?」


 健太の歓喜を聞いて、彼の横で洗濯を始めだした主夫が首を傾げ問えば。


「ん?」

「何?」

「何々?」


 洗濯作業の最中の主夫達がまた驚嘆を漏らし、健太へと一斉に注目を始めだすから。


「えっ! い、いや、何でもないです。何でも」と。


 健太は洗濯作業をやめて、自身へと注目する主夫達へと苦笑いを浮かべながら首を振り誤魔化かすと。


「……もしかして、自分が入れ忘れたかも知れないと思っていた汚れ物がちゃんと篭の奥の方にあったのが今わかったので、ついつい大きな声をだしてしまいました。本当に大騒ぎをしてごめんなさい」と。


 彼は今度は満身の笑みを浮かべながら、自分へと注目する主夫達へと彼らしい素直な謝罪を告げる。


 そして主夫達へと健太は説明、謝罪を終えると。


「よーし、僕もとっと洗濯を終わらせて正午のお昼の準備をしてないといけないな……。その頃にはアイカさん達も目を覚ますだろうから」と独り言を呟き。


「皆さん、今日も主夫のお仕事がんばりましょうね」と。


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