第582話 三個の容器の中身は何?(22)

 だってさ? シルフィー自身は、この家──。


 そう、異世界日本にある健太の実家、里へと嫁として嫁ぐ気でいるから。


 家の味、家族の味に慣れ合わせ、作ることも可能な嫁にならないといけないと。この時シルフィーは何故か、日本の奥ゆかしい妻の如く咄嗟に思ったみたいなのだ。


 異世界人、エルフ種族の女性、巫女さまなのにね。


 自分自身もこの家、健太の家族、一族になるつもりでいると、いうか?


 この時に幼い女神さまは思ったらしいのだ。


 それに健太だけではなく。彼の両親も自分自身が老後の世話、介護もするのだと心に強く誓ったみたい。


 シルフィー自身が人種ではなく。ハーフエルフの女性だとしても、臆し、恥ずかしがることもなく健太の妻だと、彼の両親にもちゃんと告げ、説明までしている女性であり。今は健太の一族を束ねる賢母だからね。彼女は。


 でも? こんなシルフィーも、この時のコロッケと、三種の液体調味料試食事件はね。要するに己の里、健太の実家の味に合わせ、慣れることを選んで。今後の彼女の人生の中でもシルフィーは、コロッケは醤油派を貫き通す。それがシルフィーと健太の里の味だからね。



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