第121話 健太立つ! (4)

 う~ん、中にはね?


 ウォンの覇道、覇王、男王宣言を未だ良いとは思わない者達……。


 今でも朦朧とした意識の中で、


「あんた、あんた。うちの事を助けてお願いだよ。うちもアイカ達と同じであんた。男王健太の物、所有物、妃なのだから……。あんた、お願いだ。助けてよ……」と。


 段々と小声……。この場にいる。集う者達に聞こえるか、聞こえないかの小さな声色でまだ自身の夫は健太只一人なのだと気丈な振る舞いを魅せるウルハの仲間達……。


 そう、この集落の跳ねっかえり。じゃじゃ馬娘、お嬢に、お姉さま達傾奇者、不良、ヤンキー姉ちゃん達の輪の中から。


「健ちゃん!」

「あんたぁっ!」

「パパ~!」

「おとうちゃん!」


「ウルハの事を助けてやってよ!」

「ウルハはあんたの事が大好きだから。このゲス男に屈したくない。だから死んでも良いと思うぐらいがんばっているんだから。あんたはウルハの旦那だろうに。旦那が妻を他の男から守るのはどの生き物、生物、種族関係無しに当たり前だろうー!」

「健ちゃん頼むからウルハの事を助けてやってよ。お願いだから」と。


 ウォンの覇王宣言に対して夫婦仲良く震え怯えていた健太に対してヤンキー姉ちゃん達、アマゾネスは、自称彼の、美少年王の妻達だから主さまへと自分達のリーダー、仲間のウルハの救出を覇王のことなどお構いなしに願いでる。嘆願をする。叫び乞うのだよ。


 でもね、何度も言う。説明をするけれど。この場にいる者達で一番武も力もなく弱い者、貧弱な者は、今ヤンキー姉ちゃん達が仲間の救出の依頼をした夫健太だから。


 彼が、健太がウルハや妻達の絶叫交じりの願い。嘆願を聞いても腰が上がらない。立つことなど不可能なのだ。


 だからこの場にいる健太の妻達……。ウルハやヤンキー姉ちゃん達は、ひ弱で軟弱な彼に頼む、嘆願するだけ無駄なのだ。


 だって彼の、健太の様子を見て確認をすればわかる。理解できると思う?


 彼は、健太はこれだけ自身の妻、妃達に𠮟咤激励をされ嘆願をされても下を向いたまま、自身の身体を震わせ、怯えているのが現状なのだからね。



 ◇◇◇



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