第590話 ウォン対ハーフエルフの兄弟(1)

〈ヒッ、ヒィ~ン〉


 ……ん? あれ? 可笑しい?


 この世界、大陸、地にいる筈の無い生物、生き物である馬──。


 それの嘶きが聞こえてきた。気がするね?



 まあ、遠く、遠くから聞こえてきた音だから、もしかすると? 勘違い。勘違いかも知れない。知れないね?



〈ダッ、ダダダ──〉


 あっ? 違う。勘違いではない。ないようだよ。


 だって? 嘶きに続いて馬の樋爪の音──。


 それも? 多々地鳴りの如く聞こえてくる、ではなく。聞こえてきたのだ。大変に勢い良く。


 まさに? 疾風──早きこと風の如しなのだよ。


 それもさ? 馬上のいる者。跨る者達の容姿は、この世界、大陸、この地では絶対にあり得ない容姿──。


 そう、健太の故郷であり。ジャポネの女王シルフィーの第二の故郷、思い出深い世界、地である日本の中世の鎧武者……。




 それも? 刀や槍、戟と言った。物々しい武器を所持しながら馬に乗り。騎乗。疾風の如く。敵のいる位置。敵陣。陣構えとしている場所へと猪突猛進をおこなっている訳ではなく。

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