第123話 健太立つ! (6)
健太は「う~ん」と、アイカの身体の様子を窺いながら彼女がその場でちゃんと立ち上がり二本足歩行で歩く。走れると確認できれば。
「アイカさん今直ぐ逃げて」と呟きながら。
自身の妻、妃の手を強引に引くのではなくて、アイカの背を力強く押しながらこの場から直ぐに逃げる。逃亡するように急かすから。
「あなた。あなたはこの場から逃げないの?」
アイカは自身の顔色を変えながら健太、夫へと問うのだが。
可愛い彼は、アイカに満身の笑みを浮かべながら。
「僕はウルハさんを助けるためにウォンさんへと戦いを挑むことにするよ……。弱々しい僕だからそんなに時間稼ぎはできないと思うけれど。できるだけ遠くに逃げてよ。時期にエリエさんやプラウムさん、サラちゃん達もここへ駆けつけてくると思うからそれまでできるだけ僕が時間稼ぎをしてアイカさんやウルハさんの盾になるようにがんばるから。それまではアイカさんは逃げていてよ。おねがいだから」と。
健太は笑いながら自身の妻、妃へと己の決意を告げる。
「アイカさんさようなら幸せになってね。僕は幽子になって産まれ故郷へと帰るから」と。
健太は自身の妻、妃アイカへと今生の別れを告げれば彼女の背を再度強く押して踵を返し反転──。
「ウォン! 今すぐ僕の妻から離れろー! 離れるんだぁっ! ……でないと、僕はウォン、貴様のことを許さないぞぉっ!」と。
健太は勝てもしない相手、勝利の確立もゼロパーセントにしか過ぎない強靭な相手ウォンに対して凛と勇ましく自身の大事な物──。オーク種族の漢達にも負けない。引けをとらないような。
可愛い彼の顔には不釣り合いな男が持つ刃物……。女王アイカを含めた姉妹達と女神シルフィーが惚れ惚れしていつも魅入って虜になってしまう大事な剣を怯え小さくさせるのではなくて凛と大きく、たくましく、巨大化させ、反り立たせ威風堂々と罵声を吐く、咆哮──。
「うぉおおおっ! ウォンー!」と咆哮を高らかに上げれば。
自身の妻、アイカのことを置き去りにして、オーク最強の漢戦士へと猪突猛進──命懸けの突撃を大和魂……。愛する者のためならば異国のことであろうとも命を投げ出せることが可能な男達が揃う民族、民、大和の侍の意地を異世界の地で妻達や集落のみなへと魅せるのだった。
◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます