第72話 男王になれなかった男の策(1)

「おい。そこのお前! 何であのチビが持つ籠の中にアイカやアイツの妹達、ウルハにシルフィーの下着や衣服以上の赤ん坊のおしめを含んだ洗濯物、汚れ物があるか教えてやろうか?」と。


 先ほど健太の真横にある大きな籠を遠目から凝視して──何故籠の中に赤ん坊のおしめがある? 入っているのだ? と、首を傾げた青年がいるのだが。その男に対してウォンはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら告げる。


「ああ、そう言えば。そんな事を言っている奴がいたよな」


 ウォンの言葉を聞き、若い漢戦士達の中の一人が自身の周りを見渡しながら呟けば。


「あのガキって、つい最近だよな、この集落に、女神様の力で異世界から召喚されたのは?」と。


 また若い漢戦士達の中の一人が首を傾げながら呟く。


「ああ、確か、あのチビがこの集落に着て、一週間か、十日ぐらいの筈だが?」

「うん、こいつの言う通りでそれぐらいの筈だと思う?」

「じゃ、まだ女王アイカやエリエ、プラウム、サラが懐妊して子供を産んだと言う事はないよな?」

「うん、懐妊してからの周期も合わないしなぁ、女王アイカや妹達の誰かが、自身のお腹を大きくして歩いている姿も俺は見ていないから。彼女達の誰かが出産、産んだと言う事はない筈だ」

「ああ、確かにお前の言う通りだ。酋長や妹達の出産祝いの方もしていないからな間違いはない筈だ」

「……じゃ、俺達の女神様、シルフィーがあのチビの子を去年あたりに孕んで、産んで、集落の者達に内緒で育てていたのかな?」

「う~ん、そうかも知れない。知れないかもしれないな?」


 最後に若い漢戦士達の中の一人が自身の腕を組み呻るように呟くと。


「じゃ、あのチビは家の集落の女神様が以前から異世界で囲っていた男、旦那だったと言う事か?」

「ああ、だからシルファーは前男王が病死で他界してから独り身、独身者になっても誰の嫁になる事もなく。男を拒み続けてきたのか……」

「ああ、なるほど」

「だからあのガキが新しい男王なのか、女神シルフィーの夫だから」

「ああ、なるほど。それならばあのひ弱で軟弱な優男のチビが男王になれたのか理由、訳がわかったよ」と。


 最初は健太への嫉妬、憎悪を募らせ唸るような憎しみを込めた声色で不満をワッと騒めきながらしていた若い漢戦士達なのだが。最後の方は二人の仲……。



(お願い)


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