第103話 ウルハ無双(3)

「はぁ、何を言っているんだい、あんたら……。何か勘違いをしているじゃないのかい? おばば達、長老達やアイカが家のひとのことで憤怒して暴力に訴え出るな、目を潰れ、我慢をしろと言うから。うち等の方があんた達の家のひとへの荒々しい行い。変態行為や虐めに対して目を瞑り我慢をしてきてやったのだろうに。だからあんたら言う。言っている事は逆だよ。我慢をして耐え忍んできたのはうち等、元男王の妻達だよ」と。


 ウルハは地面にしな垂れるように横たわり。「うっ、うううっ」と嗚咽を漏らしながら泣く自身の主、健太のことをチラリと瞳を動かし見詰めながら罵声を吐く、放てばね。


 また、自身へと身構える。ファイティングポーズをとるグラディエーター達の方を憎悪、怒りをあらわにした般若、修羅の面構えで睨みながら。


「……だけどもううちら、家のひとの妻達はね。うちのひとがボロの毛皮のように、あんたらからおもちゃにされる痛々しい様子を見る。見続ける事に対して耐え忍べなくなった。我慢が出来なくなった。だからうちのひとのこと毎日おもちゃにしてきたあんたらの事をぶっ殺す! 皆殺しにしてやるよ。今日と言う、今日はぁっ!」と。


 ウルハは威勢よくグラディエーター達へと罵声を吐けば、また自身の身近なグラディエーターへと殴りかかり。鉄拳、強打を食らわすから。他の漢戦士、グラディエーター達も。


「おい、行くぞ! 皆ぁっ! 俺達もあの生意気なウルハなど返り討ち。張り倒してやるぞぉっ!」


「おぉ、おおおっ!」

「分かったぁっ!」

「やってやるー!」

「やってやるぞぉっ!」

「ウルハなんか張り倒してやるからなぁぁっ!」と。


 ファイティングポーズ、身構えるだけで佇んでいたグラディエーター達も仲間の……と、言うか?


 自身の彼女、婚約者を盗られ、男王の座まで奪われた男、ウォンの命により漢戦士達の健太への嫉妬芯、猜疑心、不満を煽り。憎悪を募らせ爆発させた男の𠮟咤激励によって、今まで女尊男卑思想の理念である後世に子孫を残すことが可能な神聖、神秘、尊い女達、アマゾネス達に対して手をあげる。荒々しい行為をおこうこと……。



 ようするにこの集落の掟に逆らい罪を犯すことを躊躇っていた漢戦士、グラディエーター達もウォンの仲間の勇んだ掛け声に耳を傾ければ同意、同調、共闘──法に背く覚悟を各自各々が決めてしまうから。


 自分達の仲間を次から次へと殴り倒し、一騎当千の活躍を魅せ、舞い踊るウルハへとみなが一斉に猪突猛進──突撃を決行し始める。


 と、なれば?


 自分達のリーダーであるウルハの個々奮闘、八面六臂はちめんろっぴな活躍をやはり漢戦士達のように呆然、唖然と見ていた。観戦していた。傾奇者、不良、ヤンキー姉ちゃん達も、自分達の頭、リーダーであるウルハがグラディエーター達との乱闘、乱戦になった。始まったから。


「皆ぁあああっ! 行くよぉっ! ウルハと家のひとを救う為に!」と、誰ともなく声を大にして叫び──!


 各自各々が自分達の主、夫、亭主のために個々奮闘するようにと告げ叫ぶと。









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