第622話 ウォンの誤算……(16)
彼が! 健太が! 美と時の女神シルフィーを手に入れる。自分の物……。己の伴侶にしてから長く続いている。いるのだ。他人、他所さまが凝視をすれば、己の目を両手で覆いたくなるような、大変に陰険で悪質な苛めや暴力行為に遭う生活が、この殺伐とした世界、大陸、オーク種族の国や町、集落だけではなく。近代世界日本の方でも続いてきたのだ。健太君の身の上には、でも彼は……。
そう、健太君は、己の彼女、妻、妃……。この殺伐とした世界で言う。申す。男達の漢としてのかけがえのない財産である妻……。自分の子孫を残してくれる。己の財産のことになれば彼は……。この殺伐とした世界でも見せた気丈! 気構え! 凛と勇んで! 彼の大事な妻(もの)の大事な財産! 麗しい妻達が着衣をしていた水着のような衣服や下着を狙う。奪おうと試みてくる。此の国の漢戦士達に対して、こう言った荒々しい行為や所業に対して健太自身が慣れているから。奴らに対して彼は臆することなく抗う。抗ってみせたのだ。
「やめてぇえええ~。やめてよ。みんなぁあああ~。これは! この下着! 衣服は! 僕の宝物達の大事な物! 物だから! 絶対にわたさない! わたさないからな! 君達のような、邪な輩に!」
「僕の命! 命の灯火が! ここで消え失せようとも。僕は絶対にわたさない! 渡さないからな!」
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