第190話 少年はまた猜疑心ばかり募らせる(2)
まあ、向かったよ、健太はね。女王アイカ……。自分の妻を殺害してやるのだと嫉妬に狂い。憎悪を募らせ鼻息荒く。
そう、自身のお妃様の浮気相手、間男ウォンの事を殺傷してやるのだと鼻息荒く、この小さな国、集落では珍しい。女王アイカの宮殿……。代々この小さな国を守護してきた女王が住み、暮らしてきた神殿だからこそある鋼の大きな包丁……。形的には中華包丁のような包丁を片手に握り飛びでたのではなくて。
彼は、健太はね、自身の妃である女王アイカの首を盗る為に鼻息荒く飛び出たのだが。
でも嫉妬に狂う健太も、時が経てば彼の心中は憎悪から、悲しみへと移り変わり。今の調子だ。
自身の両目から血の涙をポロポロ流しながら、先程迄の荒々しい健太ではなく。いつもの女々しく、弱々しい。女王アイカが嫌いな健太へと戻り。
「うぅ、ううう。アイカさん、頼むから。僕のことを裏切るようなことはしないでお願いだから……。頼むよ……。うぅ、ううう」と。
彼は下を向き、嗚咽を漏らしながら集落内を全速力で駆け抜ける。
自身の愛する妻がいる、であろうウォンの屋敷へとむかってね。
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