第60話 最弱の男王はオークの種族の習わしと掟を知らないようだ(13)
と、なれば?
自分の主、亭主、パパを
だからサラは先手必勝──。相手の、ウルハの出鼻を挫くのだよ。
しかしだ。ウルハも女王アイカやエリエ、漢戦士最強の男ウォンと同じ、武に力に秀でた血を引く者だから。
「やっあねぇっ! サラ!」と、荒々しい声を漏らせば。
〈ガン!〉だ。
『ガン!』と呻るウルハを仁王立ちの状態で、自身のよく締まった括れた腰に両手を当てて、己の口の端を吊り上げ苦笑──。見下ろし嘲笑っていたサラへと自身のグッと、強く握った拳でサラの締まったお腹へと鉄拳を入れ込んで制裁だよ。
だからサラの肢体が後方へと数メートル飛んでしまう。
「きゃぁっ!」と、サラの悲痛な顔、絶叫、叫びと共にね。
「サラちゃん!」
だから女性達のおもちゃ状態になり歓喜している……。じゃ、なかった。(笑)
大変に申し訳ない。間違えました。(笑)
そう、自身のことを優艶に甘え、戯れ、おもちゃにしている女性達から早く逃れようと抗い続けていた健太の口から自身のお妃さまの身を案じた声が放たれる。
〈シャキーン!〉
と立ち上がり。
「チッ! ペッ! やったね! ウルハ!」と。
しかしだ。健太の心配を他所に、サラの闘志の方は衰えるどころか、更にメラメラと燃え盛り。オーク種族のじゃじゃ馬娘ぶりを発揮しだすのだよ。
だからサラはこの通りだ。
自身の口の中に溜まる戦闘種族、民族の血を含む唾を地面に吐く悪態振りをウルハへと見せ、声を大にして叫べば。
〈シュン!〉だ。
シュン! と、素早くウルハの真近く正面へと詰め寄れば、目には目を歯には歯をではないが?
ウルハのよく締まったお腹の中心へと自身の握り拳の打撃を入れる。加えるのだよ。
〈ガン!〉とね。
だから今度はサラに代わりウルハの二メートル近い肢体が宙に舞うから。
「あ、ああ……」
「姉さん……」
「ウルハ……」と。
健太のことを優艶におもちゃにしている女性達みなが。健太へと卑猥に甘える。じゃれる。戯れ堪能をする行為をやめて、ウルハが「あああ~」と叫びながら宙を舞う様子を叫びながら。その後は開いた口が塞がらない状態で呆然と見詰めるのだよ。
と、なれば?
自分のことをおもちゃにしていた女性達だけでなくて、この小さな国、集落の男王である健太の口もまた開き。
「ウ、ウルハさん~」と、彼女の身を案じるような声色での台詞が放たれ。
「サラちゃん! もうやめて!」と、自身のお妃さまに対して争いを辞めるようにと下知が放たれる。
〈ドン!〉
健太のサラへの諫めの言葉が終わると同時に、ウルハの肢体が地面へと落下した鈍い音がする。したと思えばね。
「痛、たたた……」と、ウルハの口から悲痛な声が漏れる。
まあ、漏れたのだが。
彼女は、この集団、団体さん。この小さな国、集落の傾奇者、不良、ヤンキー姉ちゃん達を束ねる頭、番長さまだから。
サラにお腹へと強く、激しく、重たい一発入れられたぐらいで怯む。怯えるような魂、アマゾネスではないからね。
「あんたは、男なのだから。黙っていな! これはうちとサラの女同士の男をかけたガンの飛ばしあい。睨み合い。意地の張り合いなのだから。男のあんたがでしゃばる事じゃないんだ!」
ウルハは自身の横たわる身体を起こし「よいしょっと」と、言葉を漏らしながら健太へと、女同士の喧嘩に男王が首を突っ込むなと怪訝な表情で荒々しく不満を吐く悪態をつく。
まあ、つけばね。
「健ちゃんは黙っていて、これはサラとウルハの問題だから」と。
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