第693話 アイカとシルフィー(9)

「シルフィー、どう言うこと?」と。


 健太は少々不満のある顔と目。その上声色まで使用しながら。自身の妻であるシルフィーへと問うのだ。


「ん? 何が? あなた?」


 シルフィー自身も女王アイカと対峙──。睨み合いの最中だから。彼女自身も大変に不機嫌極まりない声音で、夫健太へと言葉を返す。返せばね。これまた大変に珍しいことが起こるのだ。


「はぁっ! お前ぇっ! 何があなたじゃないだろう。シルフィー! 誰の許可を得て、と言うか。僕は誰もアイカさんと戦をしろ。していいと許可をした覚えはないぞ! シルフィー! いい加減にしろ! ぼ、僕を。僕のことを。お前は! シルフィー!は! 舐めているのかぁあああっ!」と。


 健太が女王アイカの目の前で、異性。女性に対して憤慨しながら怒声を吐く。放つ姿を女王アイカは己の、紅玉色の瞳で凝視したから驚愕。呆然。沈黙。開いた口が塞がらない状態へと堕ちるのだ。




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