有名-15
話は燐の方へと戻る。
燐は美雪の家で作戦会議を行っていた。
「松坂さん、スマホにGPSアプリを仕掛けた人物に心当たりはないんですか?」
絢巡査長が質問する。
「そうですね」と答え少し長考の後、話始めた。
「一番その様な事が出来そうなのは、事務所の人間ですかね」
「事務所の人間ですか。やはり、同僚のマネージャーさんになるでしょうか?」
「そうなりますね」
松坂は燐の質問に答えると、その回答を聞いた燐は自分が考えられる事を頭の中に張り巡らせ始めた。
その間も話は続けられる。
「でも、テレビ局に出入りしているわけですから、色んな人物が犯人と言う可能性もあるんじゃないですか?」
「確かに、刑事さんの言う通りかもしれません」
「あの、良いですか?」
美雪が手を挙げ、発言を求める。
「どうぞ」絢巡査長が許可する。
「どうして、私のスマホにGPSを仕込まないんですか? だって、狙いは私ですよね。松坂のスマホにGPSを仕込む理由が分からないんですけど」
「多分ですけど、相手は美雪さんの私生活は調べつくしているんじゃないですかね」
ここで考えこんでいた燐が話に入ってきた。
「え?」
「だからこそ、仕事中の美雪さんの行動が知りたいが為に松坂さんのスマホにGPSを仕掛けたんだと思いますよ。それに」
『それに?』3人は燐の言葉を復唱する。
「それに松坂さんも襲撃対象の1人ですから、GPSをつけて行動を把握していたいじゃないですか」
「ラモちゃん。その考えだと、どうして栗栖さんが殺されるの? 栗栖さんが松坂さんのスマホを持っていたことになるじゃない?」
「それはですね。犯人グループの連携が取れていないんじゃないかと。栗栖さん、殺害の実行犯にはGPSの存在が伏せられていたのではないでしょうか?」
「成程」
絢巡査長は燐の推理に納得する。
「そんなことよりも、これからどうするんですか? こちらの動きは相手に読まれているんですよ」
「松坂さん。だからこそ、それを逆手に取るんです。こちらの動きを相手に把握させ誘いこんだところを一網打尽にするんです!!」
「確かに、理にはかなっているが・・・・・・」
松坂は心配そうに美雪を見る。
「松坂さん。私は大丈夫ですよ」と笑顔で答える美雪。
「美雪さんが危険を負う事はないですよ」
燐はウインクして答える。
「つまりは、お取りを使う。そういう事ですか?」
「そう言う事です」
燐は絢巡査長の問いに頷いて答える。
「ですから、美雪さん、松坂さん、協力して頂けますか?」
「それは、勿論」
「はい。協力します。栗栖さんを殺した犯人を捕まえてください」
美雪と松坂は覚悟をもった目で燐を見るのだった。
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