議員-16
長四郎に呼び出された一川警部は、警視庁へと戻ってきた。
「長さんのビッグプレゼント確かに受け取ったばい」
一川警部はそう言いながら、長四郎が印刷したリストをありがたそうに掲げる。
「いえいえ。ですが、これ裏ルートで入手した感じなものなので公には」
「せんばい。あたしと長さんの秘密ってことにしとくけん」
「ありがとうございます」
「で、長さんはこれからどうすると?」
「まぁ、ラモちゃんが鬼の形相で姿を現すと思うのでそのお守りですかね」
「誰が誰をお守りするって?」
聞き覚えのある声に長四郎は恐る恐る後ろを振り向くと、満面の笑みを浮かべた燐が立っていた。
「あ、ラモちゃん」
長四郎はそのままストレートパンチを貰い受けるのだった。
「あちゃ〜」
一川警部は燐の攻撃を受ける姿を見て、哀れむのだった。
「それで? あんたはここでサボってた訳?」
「いや、サボっていたわけではぁ〜」
一川警部に助けを乞う長四郎だったが、一川警部はそれに気づかずリストを見ながら光輝く頭をペチペチと叩いている。
「サボっていたから、ここに居るんでしょう?」
「ど、どうなんでしょうか? それより、小岩さんは?」
「とっくに帰ったわよ。まだ、本調子じゃないらしいから」
「本調子ですか。帰る前に何してた?」
「えっとぉ〜 いや、そうじゃなくて。あんたのサボりについて話しているんだから、話逸らさないでよ」
「んな事より、早く教えろ」
真剣な目で聞いてくる長四郎を見て、燐は本気なやつだと思い答えることにした。
「確かぁ〜 あんたが担当していた場所を二人で片付けして、なんか途中でもう帰るって言い出したから、帰ることになった」
「なんだそれだけかよ」
「あ、あれだ。なんか本を開いてそれから帰ろうって言い出した」
「そうか。でかしたぞ。ラモちゃん」
「何がでかしたのよ?」
「ラモちゃん。長さんの言うようにでかしたばい」
「意味わかんない」
「意味わかんないで結構、結構」
長四郎はうんうんと頷きながら、命捜班の部屋を出ていく。
「ちょっと、待ちなさいよ」
燐も長四郎の後を追いかける。
「どこいくの?」
先を行く長四郎に追いついた燐は質問する。
「どこって、帰る」
「帰る!?」
「何、驚いているの?」
「そりゃ驚くは!! 事件解決させないと」
「その為に、英気を養うのお分かり?」
「分からないし」
「ラモちゃんも帰りな。明日、九時に事務所に来いよ。どつかれさんっ!!」
長四郎は燐の背中をバンっと叩くと、そそくさと事務所兼自宅へと帰っていた。
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