支援-10
次の日、長四郎と燐は記者に尾行されても見つからないよう普段とは違った恰好で街を闊歩していた。
因みに、どのような姿をしているのか、読者の方に説明しよう。
今日の長四郎のコーディネートは、高級ブランドのシアサッカーデザインのスーツに身を包み顔が割れないようサングラスで目元を隠していた。
次に燐の服装についてだ。
燐の服装は、週刊少年ジャンプに連載されていた7つの球を集めると願いを叶えてくれる龍が出てくる作品で、ここ最近、オレンジ色の新形態が披露されたキャラの服を着ていた。
当然、特徴的な肩パット付きの衣装だ。
その為、並んで歩く長四郎の腕にその肩パットが何度も接触していた。
しびれを切らした長四郎は、声を出す。
「あのさ、さっきから肩パット当たっているんだけど!!」
「アアっ!?」どすの効いた声で長四郎を威嚇する。
「えっ!?」
まさか、自分が怒られるとは思わず長四郎は戸惑う。
「もうっ! これ、邪魔っ!!!」
頭に被っていたターバンを投げ捨て、肩パットを取る。
燐は両腕を出したノースリーブ姿になり、すれ違う男はみな燐の姿を凝視していく。
なんせ、谷間がねぇ、強調されているものだから。
男は皆、スケベ。
まぁ、そんなことはさておき、燐は脱ぎ捨てた肩パットを放置して歩き出す。
「全くよぉ~」
長四郎はターバンと肩パットを拾い上げ、燐を追いかける。
2人は、一川警部達との集合場所である喫茶カラフルに来ていた。
「す、すごい恰好やね・・・・・・」
一川警部は燐の姿を見て、感じた事をそのまま述べる。
「ちょっと、一川さん。ぷっ」
そう注意する絢巡査長であったが、改めて燐の恰好を見て吹き出してしまう。
「無理もないですよ」
長四郎はそう言いながら隣に座る燐を見ると、目を閉じて腕を組みさながらピッ○ロさんそのものであった。
長四郎はその姿に耐え切れず、大爆笑する。
「何が、おかしいんだ? お?」
長四郎のネクタイを引っ張り上げ、ガンを飛ばす燐。
「んな事より、事件の話をするばい」
「はぁ~い」
燐はそう返事しネクタイを離し、一川警部達の方に向き直す。
「長さん達が、現時点で得られた情報を教えてもらえますか?」
絢巡査長の言葉を受け、長四郎は絢巡査長と別れてからの行動そして、夫人宅で得た情報を報告した。
「長さん達も、つけ狙われとったとね」
「そのせいで、こんな服着ている羽目になって・・・・・・」燐は下を向いて落ち込む。
「それで、この資料は正しい事実何ですか?」
「ああ、夫人から得た情報だからね」
「夫人って。あの夫人!?」
一川警部は長四郎の発言に、仰天する。
「夫人って、誰ですか?」
絢巡査長は、自分の疑問を一川警部と長四郎にぶつける。
「絢ちゃんには、説明しとらんかったかな。夫人はね」
「あのそれより、先に話を進めましょう」長四郎に促され、事件の話を進める。
「それでラモちゃんの推理で源が犯人だそうなので、俺達は源を攻めて行こうかなと」
一川警部、絢巡査長の二人にこれからの捜査方針を伝える。
「じゃあ、あたしらも源を追って捜査してみるばい」
「宜しくお願いします」
長四郎は、頭を下げる。
「絢さん達も捜査してくれるんですね」
「ラモちゃん。あの後、もう一度鑑識を入れて再捜査してみたの」
絢巡査長は長四郎の指示通り燐達と別れた後に、再度、林野が転落した事件現場のビルを訪れた。
道中、一川警部に鑑識の手配をしていたので現場に到着すると鑑識班が待っていた。
絢巡査長は鑑識して貰いたい内容を伝え、自分自身も鑑識作業に加わる。
絢巡査長が頼んだ内容は、下足痕から被害者が辿った経路ともう一人の人間の経路の調査及びまだ発見されていない証拠品の捜索であった。
地面を這いつくばりながら一生懸命に証拠品を探す絢巡査長。
「絢ちゃん、こんな物が落ち取ったばい」
顔を上げると一川警部が、ハンカチの中にある万年筆の蓋を見せてきた。
「これ、どこで? というか、来たんですか?」
てっきり、今回は捜査に加わらずサポート役に徹するものだと思っていたからだ。
「来るよぉ~ 部下が一生懸命、頑張っとるわけやろ。只、椅子に座っているなんてあたしには出来んけん」
「一川さん・・・・・・」
少し嬉しくなる絢巡査長であったが、気を取り直して万年筆の蓋がどこに落ちていたのか聞き出す。
「それで、この証拠品はどこで見つけたんですか?」
「これはね、下の排水口の前に落ち取ったと」
「つまりは、上からの流されてきた可能性があるということですか?」
「それは、調べてみんとね。鑑識さぁ~ん」
一川警部は証拠品を集めている捜査員を呼んで、証拠品を手渡す。
「さ、手を止めとる暇はなかとよ」
「はいっ!!!」
一川警部と絢巡査長は、証拠品の捜索を再開する。
「そのおかげで、見つけたのがこいつらだってことですか」
長四郎は回収された証拠品のリストに目を通しながら、発言する。
「そう。一応、そんで、下足痕の方はまだ検証中やけん。夫人の資料のウラ取ってみて、源を任意で引っ張ってみるわ」
一川警部は、これからのアクションを3人に示す。
「じゃあ、源が自供すれば事件も解決ね」
「それはどうかな?」
燐の事件解決発言に長四郎は、不敵な笑みをうかべるのであった。
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