支援-11
長四郎達一行がカラフルを出ると、どこから嗅ぎつけたのか東の手先が4人を尾行し始めた。
「来ましたね」
長四郎が隣を歩く一川警部に話しかける。
「あ~そう、どげんする?」
「どげんしましょう?」
「締め上げるしかないんじゃない?」
燐が話に入って来た。
「ピッ○ロさん、すぐ暴力で解決するのは良くないよ」
「誰がピッ○ロさんだぁ!!!」長四郎を背後から締め上げる燐。
「く、苦しい!!」
「通行の邪魔だから、後で」
絢巡査長が注意すると燐は、長四郎にかけた腕を離す。
「ゲホッ! ゲホッ!!」
咳き込む長四郎を置いていく形で、3人はつかつかと歩く。
「ちょっ、待てよ!!!」
長四郎はキムタクバリの「ちょっ、待てよ!!!」を披露し、三人を追いかける。
そして、4人は尾行者を引き連れながら警視庁へ場所を移した。
「ここまで追ってくる事はないやろ。じゃ、長さん。源さんへの探りの方、宜しく」
長四郎の肩をポンポンっと叩くと、絢巡査長を連れて命捜班の部屋へと上がっていく。
「ラモちゃん、お着がえタイムだ」
「はい?」
いきなりの長四郎の宣言に、燐は聞き返す。
それから数分後、更衣室からミニスカポリスの衣装に身を包んだ燐が姿を現す。
「何これ?」
燐は自分が着ている服の説明を求める。
「見りゃ、分かるだろ。ミニスカポリス」
「ふざけんてんの? どうして、目立つ格好なわけ?」
「いやいや、結構、似合っているよ」
長四郎の一言で、周りにいた男性警官達が「うんうん」と声を出して頷く。
「そ、そうかな」
少し照れる燐を他所に、長四郎は一人スタスタと歩き、源の元へと向かう。
「ちょっ、待てよ!!」
燐もまた「ちょっ、待てよ!!!」を披露し、長四郎を追いかける。
東京メトロの桜田門駅までの道中も、東の手先の記者は尾行を続けていた。
長四郎もその事に気づいてはいたが、伏せ置くことにした。
源の勤務先に赴くと、源が会社から出て来て営業に出かける所であった。
「あっ」
燐が駆け寄ろうとすると、長四郎が腕を引っ張って止める。
「何すんのよ!!」
「大きな声出すな。追うぞ」
燐は静かに頷き、長四郎と共に尾行を開始する。
長四郎について行きながら、燐は探偵の尾行方法を自然と身に着けていく。
源は営業回りのようで挨拶だけをして去ったりと、それを2,3件繰り返して去っていく。
「別に怪しいとこないね」
「ああ」
気のない返事をしながら、長四郎はさり気なく後ろを振り向くと記者は慌てて物陰に隠れる。
「どうかしたの?」
険しい顔で後ろを振り向くので、燐は気になり何があるのか尋ねる。
「何でもない」
「そう」
燐は振り向くのを止め、前方を歩く源に集中する。そうしてまた、源は一件の営業所へと入っていった。
暫く、帰って来なかった。多分、打ち合わせをしているのだろう。
長四郎はその隙にと、動き出す。
「ラモちゃん」
「何?」
ビルの方を向いていた燐は、長四郎を見る。
「いや、視線はそのままで」
長四郎にそう言われ、燐は再びビルに視線を戻す。
「俺、ちょっとこの場から離れるから」
「へ?」
「もし、俺が戻る前に源が出てきたら、さっきの要領で尾行してくれ」
「あんたは、何するの?」
「俺は、うっとおしい蠅を退治するわ」
「うっとおしい蠅?」
だが、すぐに燐も長四郎の言わんとする事を理解した。
「分かった。いってらっしゃい」
「行ってきまぁ~す」
長四郎は燐の元を離れ、30m程離れた物陰に隠れている記者に近づく。
「どうすか? カッコよく俺の事、撮ってくれました?」
長四郎に声をかけられた記者はびっくりして腰を抜かす。
「な、何なんだ!! あんた!!!」
「それは、こちらの台詞。
今日の所は見逃してやるから、一つ質問に答えてください」
「何だ」
やたらと高圧的な態度だなと長四郎は思いながら、質問を投げかける。
「これに見覚えはありませんか?」
一川警部が、事件現場から押収した万年筆の蓋の写真を記者に見せる。
「これは・・・・・・東さんのかな?」
「俺の推測だが、これ何かの賞を取った記念に貰える物? ですよね?」
「それだ!! 東さん、酒が入ったら必ずこの万年筆見せて話しするんだよ。記者になりたての頃、貰った賞だってさぁ」うんざりしたといった顔で答える記者。
「そうですか。今回の林野さんの横領事件をお宅らにリークしたのは、源さんだよな」
「ああ。って、何を言わすんだ!!」
勝手に答えたのは、そっちだろうと長四郎は思う。
「今のは、オフレコにしといてあげますから」
「ぐっ!!」
「じゃあ」
立ち去ろうとする長四郎のスマホに着信が入る。
「もしもし、どうした?」
「東が源と接触して、今、2人で移動しているんだけど」
「分かった。そのまま、続けて。俺も追いつくから」
長四郎は燐にそう伝え、自分も後を追う。
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