復讐-5

 舞台は沖縄に戻る。

 長四郎の提案で被害者達が宿泊していた部屋に燐と肥後を連れ立って来ていた。

「2部屋か・・・・・・」長四郎は部屋の前に立ちどちらの部屋に入るか考える。

 男達は2,3と別れて2部屋で宿泊していた。

「どっちから入る?」悩んでいる長四郎にそう聞く肥後。

「じゃあ、こっちで」

 燐は右の部屋を指さす。

「はいよ!」

 肥後は燐の言う通り右の部屋の鍵を開ける。

「全く・・・・・・」

「何か文句ある?」長四郎を睨めつけてくる燐に「何もありません」とだけ言い中に入る。

 部屋はツインルームをソファーベッドで3人使用の部屋として利用している部屋だった。

 多分、隣の部屋も同様の使用になっているのであろう。そう思いながら長四郎は部屋を大雑把に見渡す。

 男達はマナーが悪いのか。部屋を汚しまくっていた。

 床にはビールやカクテルの缶が転がっており、中身も零れていてびしょびしょに濡れた後があった。

「汚い」燐は思ったことをそのまま述べた。

「ラモちゃん、それしか言えないの?」

「どういう意味よ」

「言葉の通りです。これなぁ~んだ?」

 ベッドの隙間から葉っぱに入ったポリ袋を取り出す。

「長さん、もしかしてそれ・・・・・・」肥後は長四郎の持つポリ袋を指差した。

「大麻もしくは脱法ハーブのどちらかじゃないですかね」

「じゃあ、ここで大麻パーティーが行なわれてたって事?」

「この部屋の惨状を見ればそういう事だろうな。ラモちゃん」

「長さんそれ貸して」肥後はポリ袋を長四郎から受け取る。

「隣の部屋に行こうか」

 長四郎の言葉を受け隣の部屋に移動する3人。

 隣の部屋は先程居た部屋と比べて比較的綺麗であった。

 だが、荷物は散乱しベッドに服は投げ出され布団は床に転がり落ちていた。

「全く、マナーがなっていないな。マナーが」

 長四郎は床に目を向けると派手目なヘアピンが落ちているのを見つけたが今の時代、男もヘアピンするのが当たり前なので捨て置くことにした。

「ホント、ホント」長四郎の意見に賛同する燐はユニットバスを覗く。

「うわっ! 何これ!!!」

 燐が絶叫するので長四郎と燐がユニットバスに目を向けると、トイレットペーパーはホルダーから外され床に転がっており、シャワーカーテンをせずにお湯を出したのかトイレにも水がかかっていた。

「ヤバッ」と長四郎。

「これは凄いね・・・・・・」酷い惨状に絶句する肥後。

 長四郎はゴミ箱を覗いたり窓からの景色を眺めると「帰ろう」とだけ言い3人は捜査本部に戻る。

 捜査本部に戻ると肥後は女性警察官から報告を受ける。

「肥後さん、警視庁から問い合わせがありまして」

「け、警視庁!?」肥後も驚きを隠せないのか素っ頓狂な声を出す。

「それって、どの様な?」

 長四郎は女性警察官に質問する。

「はい。あ」部外者に危うく説明しそうになったので説明を止める女性警察官に「彼らは大丈夫」そう肥後が伝えると話を続ける。

「殺された被害者達が東京で起きた殺人事件の重要参考人だそうで、警視庁の刑事がこちらに来るそうです」

「すいません。その刑事がどの部署の人間か聞きました?」

「確か、命捜班だったかと」

「絢ちゃんかな」

「絢さんだろうね」

 長四郎と燐は来ると言われる刑事が誰か見当がついているようであった。

「お知り合い?」

「一川さんの部下ですよ」長四郎が肥後にそう教えると「あのハゲの部下か!」と納得したようであった。

「肥後さん、一川さんの事知っているんですか?」

「まぁね」少し不機嫌な肥後を見て燐は過去に何かあったと推測した。

「で、どうしましょうか?」女性警察官が今後について肥後に質問する。

「そうねぇ。迎えに行く?」

 肥後が長四郎に尋ねると「行きましょう」そう燐が食い気味に返答するのだった。

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