展示-18
「凶器の正体を突き止めてくれてありがとうね」
一川警部が長四郎に例を言う。
「いいえ」そう答える長四郎はどこかつまらなそうであった。
「ねぇ、なんか気になる事あるの?」
長四郎の様子を見た燐は、問いかける。
「気になる事? そういったのじゃないな」
「じゃあ、何?」
「被害者は幾ら稼いだんだろうと思っただけ」
「それだけ? 普通はさ、被害者が展示物を横流ししていた人物が犯人だとか。そんな事考えないの?」
「おおっ! 名探偵! 冴えてるなぁ!!!」
長四郎が言うと同時に、燐は長四郎のみぞおちに肘を叩き込む。
「おぐっ!」
「お~怖っ!!」
一川警部が身震いしながらそう言うと、燐の鋭い眼光が向けられる。
「な、何でもないです・・・・・・」一川警部は俯くのだった。
「さ、お金の流れを調べに行くよ」
「行きません」
長四郎は燐の提案を却下すると、1人どこかへと歩き出した。
「どこ行くの?」
「付いてくれば分かる」
長四郎はそれだけ言うと、倉庫を出ていく。当然、燐も後に続く。
そうして、長四郎が向かった先は日本刀コーナーであった。
「ここがどうしたの?」
展示されている刀をまじまじと眺める長四郎に質問する燐。
「どうしたのって。ここに置いてある刀が」
「模造刀って事?」
「今回は、やたらと人の台詞を奪うな」
「そうですか。それで、模造刀なの?」
「プロじゃないから分からん!」
「期待した私がバカだった。でも、模造刀だったらここの職員さんが気づくんじゃない?」
「だから、横領が職員全員の周知の事実だったら?」
「横領に加担していたって事?」
「全員が全員っていうわけではないだろうけど、中にはその汁を吸っていた人物もいるだろうな」
「そうか・・・・・・」
「ラモちゃん。絢ちゃんか一川さんにここの刀が模造刀かどうか分かる人を寄越すようお願いして」
「分かった。で、あんたはその間、何すんの?」
「俺は色々やる事があるから、頼んだぞ」
長四郎はサムズアップをすると、燐から逃げるように去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます