彼氏-3
「被害者は、
所轄署のモブ刑事が、
その2人の視線の先には、血が染まっているジャージ姿の女性の遺体が横たわっていた。
2人は手を合わせ、遺体の状況を確認し始める。
美歩の髪、衣服共に乱れており、腕には激しく揉みあった際にできたであろう引っ搔き傷のようなものがたくさんついていた。
「かなり、争ったようですね」絢巡査長が早速感想を述べた。
「そうやね。で、所轄さん的にはどの様な見解で捜査を進めていくとですか?」
2人に説明してくれたモブ刑事に質問する。
「一応、物取りの線、痴情の縺れの線で捜査していくつもりです」
「分かりました。じゃあ、あたしらは、痴情の縺れの線で捜査していきますので所轄さんは物取りの線を追って頂けますか?」
「了解です。課長にも伝えておきます」
「宜しく」
モブ刑事は、一川警部達の元を離れ自分の仕事に取り掛かった。
「一川さん、痴情の縺れって言いますけど。それに該当する目欲しいものないですよ」
「それを見つけるのが刑事の仕事たい。絢ちゃん」
「そうですけど・・・・・・」
正直、この部屋から何か出るとは思えないと女の勘で何となく分かった。
「絢ちゃん的には、何から男の証拠が出ると思うとると?」
「スマホじゃないですか。やっぱり、コミュニケーションツールですから」
「じゃあ、スマホのデータから男の影を追いましょ」
「はい」
こうして、鑑識が回収したスマホの解析から手を付けることにした。
所轄署の鑑識課でスマホの解析に立ち会う。
眼鏡をかけた坊ちゃん刈りの鑑識捜査員が操作するPCを腕を組みながら2人は見る。
「取り敢えず、ロックは解除しました。どこから手を付けましょうか?」そう尋ねてきたので絢巡査長は「写真からお願いします」と即答した。
「分かりました」
鑑識捜査員は写真ファイルを開き、2人に見せる。
「男と一緒に写っとる写真は内容に見えるけど・・・・・・」
一川警部はそう述べながら男の写真がないかくまなく探していると、絢巡査長が「削除フォルダを見せて貰えますか?」と頼んだ。
「はい」
鑑識捜査員は削除フォルダを開く。
「どうして、削除フォルダなの?」
「写真を削除しても一定期間、このフォルダに保存されるようになっているんですよ」
「はぁ~そうなの。凄かぁ~」
一川警部の関心を他所に絢巡査長は男と身を寄せ合って一緒に写っている写真を見つけた。
削除までの日数は残り29日。つまり、直近に消された写真という事が伺えた。
「一川さん、この男を追いましょう」
「それは構わないけど。どうして、こん人な訳? 教えてくれんね」
「はい。この写真は直近に削除されたものです。つまりは、ここ最近、この男と揉めた可能性が高いという事です」
「なんか、長さん以上に冴えとるんやないと」
「ありがとうございます。すいませんが、前科者履歴からヒットするから調べて頂けますか?」
「分かりました」鑑識捜査員は返事するや否や前科者履歴に該当する人物がいないか検索をかけ始めた。
5分も絶たないうちに、検索を終えた坊ちゃん刈りの鑑識捜査員は口を開いた。
「該当の人物はいませんでした」
「そうですか。ありがとうございました」
残念そうに肩を落とした絢巡査長が鑑識課を去ろうとする。
「ですが、身元は分かりましたよ」
「本当ですか!」嬉々として鑑識捜査員に近づく絢巡査長。
「本当です。免許証の顔写真データベースで検索をかけたら発見できましたよ」
「それで、どこのどいつなの。こん男は」一川警部の質問に「この男性でした」免許証のデータを2人に見せた。
一川警部と絢巡査長が見るモニターには、日向 悠真の免許証データが映っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます