将軍-24
今、まさに長四郎とゲネラールが対決する時がきた。
「どうも、ご無沙汰してます。熱海です」長四郎は深々とお辞儀をする。
「どうも。ゲネラールと申します」
ゲネラールもまた、長四郎と同様に深々と頭を下げて挨拶した。
「いや、挨拶している状況じゃないでしょ!」
「そうなの?」
燐の指摘に長四郎はギョッとした顔で驚いてみせる。
「挨拶はさておき、お約束通りその記者を殺しましょう」
ゲネラールは懐から短刀を取り出した。
「ちょっと! 不味いんじゃないの?」燐は甘木田の前に立ち、庇う姿勢を見せる。
「健気な助手ですねぇ!」ゲネラールは嬉しそうに言いながら、燐目掛けて短刀をその身体に突き刺そうと突っこんでいく。
「ラモちゃんのバカッ!」
長四郎は燐を押し退け、その身体で短刀をもらい受ける。
「ウっ!!」長四郎はそのまま地面に崩れるように倒れた。
「熱海さん!!」
「長四郎!!!」
ここで長四郎に近づくということは、死を意味する。
「早く逃げて!!」燐がそう言う前に血相を欠いた甘木田はそそくさと逃げていた。
「薄情な大人ですね。全く・・・・・・」燐に同情するゲネラール。
「薄情ね。じゃあ、あんたは何だっていうの? 更利満さん」
その瞬間、ピタッとゲネラールの動きが止まった。
「更利満? 誰の事です?」
「しらばっくれてもダメ。あんたの正体は掴めてんだから」
「そうか。知られているのかぁ~」
ゲネラールこと更利満は天井を見上げると「じゃあ、聞こう。私が更利満だっていう証拠はあるのか?」そう質問してきた。
「証拠は・・・・・・」言葉に詰まっていると「証拠はあるぞ」そう背後から声がした。
燐と更利が声の方に視線を向けると、佐藤田警部補そして絢巡査長、明野巡査、遊原巡査の三人が立っていた。
「皆!!」
援軍が来た事で、燐は安堵した。
「あなたは?」
「申し遅れましたが、警視庁捜査一課の佐藤田と申します」
「佐藤田さん。どうして、私が更利満だと分かったんですか?」
「う~ん。捜査した結果としか言えませんが、きっかけは替え玉であるのではないか? そこでお亡くなりになっている探偵さんが推理しましてね。そこで、私が先頭をきって、捜査を開始したんですよ」
「で、結果は?」
「結果は、最初の被害者は地元でも悪行で有名な不良少年であることが分かりました。勿論、DNA検査で一致しましたよ。最初の被害者として殺された遺体とね」
「気になるのはそこじゃないんですよ。どうして、その不良に行きついたのか。私はそれが知りたい」
「成程。それは、ごもっともですな。良いでしょう」
そんなことより、そこに倒れている長四郎を救出しなくて良いのか? 若い刑事三人は同じ事を思いながら、話を続ける佐藤田警部補の話に耳を傾けるしかなかった。
「最初はね、住所不定の人かなと思って捜査していたんだけどね。中々、見つからなかったから困っていたんだけど。ここに居る若いのがあんたのドッグタグを見つけた事を思い出してね。あんたの過去を追わせて貰ったんだよ」
「過去を?」
「そう、陸上自衛隊に知り合いが居てね。そこで少しばっかしあんたの経歴を調べたら埼玉の駐屯地に居た事があったでしょ? というより、自衛官の始まりの地って所かな」
「そこまで調べた上で、遺体の正体を突き止めたと?」
「そう。そこからがまた大変でねぇ~ その地域の行方不明者を探すのに苦労したんだけど。運が向いたお陰で、近所の不良に行き着く事ができた」
更利は髪をかき上げると、佐藤田警部補を睨む。
「そんな怖い顔しないでよ。で、運よく行方知れずの不良がいる事を知ってね。そこから、彼女の力を借りて確証となったわけ」
佐藤田警部補は不良から話を聞き出すのに、協力してくれた絢巡査長をチラッと見てゲネラールに告げた。
「そうか。では、次の質問だ。ここまで殺した人間の共通点は分かったのかな?」
「答えは簡単。あんたと同業の人間だろ?」
刺されて死んだはずの長四郎がスクっと立ち上がりながら、更利の顎にハイキックを浴びせた。
まさかの反撃に防御する事を忘れた更利は、白眼を向いて倒れるのだった。
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