海外-5

「リイルさんとアマンダさんの共通の知り合いに犯人がいるとは考えないんですか?」

 燐がクランに質問すると「俺もデモンには内緒で、こっそりとその線で捜査している」と答えた。

「でもね、燐。共通の知り合いは私も含まれるし、リイルとアマンダの共通の知り合いは知っているからその線は薄いかも」

「だけど、その可能性も捨てきれないからクランに調べさせているんだろ?」

 長四郎の問いにミシェルは頷くだけで何も言わなかった。知り合いに犯人が居るとは思いたくない様子が分かった。

「じゃあ、アマンダさんの職場に犯人が居るとかは?」

 燐がそう言うと、アメリカ人二人はギョッとした顔で燐を見る。

「まさか、その線を疑っていなかったのかよ」長四郎がツッコミを入れる。

「そ、そんな事はねぇ。クラン」

「ああ、ミシェルの言う通り、その線も勿論、疑ってたさ」

『ホントにぃ~』二人は声を揃えて、ミシェルとクランを見る。

 バツが悪そうな顔をするミシェルとクランであった。

 こうして、アマンダの勤務先に移動した長四郎達四人。

 アマンダの勤務先は、世界的なネット小売業大手のホライゾンの配送センターで配送管理をしていた。

 そして、上司のタイショーからミシェルの話を聞けることになった。

「まさか、アマンダが殺されるとは思わなかったです」と英語で喋るタイショー。

「ラモちゃん。あいつ、なんて言っていんの?」

 すかさず長四郎は燐に通訳を求める。

「まさか、アマンダが殺されるとは思わなかったです。って、言ってる」

「ああ、そ」長四郎はそれだけ答え、タイショーの話に耳を傾ける。

「彼女は優秀だった。本当に惜しい事をした」

 タイショーが言う事をすぐに通訳する燐。

「アマンダが殺害される前に、会社でトラブルとかはなかったんですか?」

 ミシェルが事件について質問すると、タイショーは「No」と言い首を横に振る。

「彼女デスクを見ても?」デモンがタイショーに許可を求めると、「それは出来ない。彼女の机は別の人間が使っています」と答えた。

 それを聞いた長四郎は、フフッと笑う。

「ちょっと」燐は不謹慎という意味を込めて注意する。

「悪い。悪い。続けてもらって」

 燐は申し訳なさそうに目でミシェルに合図をする。

「分かりました。彼女の私物は?」

「ああ、それなら彼女の実家に送ることになっていますから。まだ、あるんじゃないかな?」

 タイショーは席を立ち、アマンダの遺留品を取りに行った。

「これが彼女の私物です」タイショーはアマンダの私物が入った箱を抱えて戻ってきた。

「拝見しても?」デモンが許可を求めると、「どうぞ」とタイショーが許可するといの一番に長四郎が中身を確認し始めた。

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