展示-22
「何もそんな言い方しなくても良いじゃない」
長四郎は少しすねた感じを出しながら、亀津の方を向く。
「爺さんが刀を見分けられるってことは、刀を扱う職業に就いていたよね?」
「ああ、そうだよ。古物商だがね」
「刀剣商って事か。それも長いの?」
「40年位やっていたけど、店は5年前に畳んだがな」
「そうか」
「何で、古物商が刀を扱うのよ。」
「刀は古物に該当するんだよ。そんで古物商許可証を持っていると刀剣ショップが開店できるの。分かった? 女子高生」
「言い方がムカつくけど、理解した」燐は顔をムスッとさせる。
「そんな目利きが利く爺さんだ。凶器に使われた刀がそこまで歴史価値がない事を判断して使ったんだろ?」
「兄ちゃんには参ったな。その通りだよ。あの花虎は70年物の刀なんだよ。だから、あの刀を選んだ」
「ちょっと、亀津さん!!」みのりが制止するのだが、亀津は続ける。
「あいつのやった事は許せなかったんでな。それで、殺した」
「亀津さん・・・・・・」
亀津の自供を聞いたみのりは、悲しい目をする。
「だがな、兄ちゃん。みのりちゃんは関係ないぞ」
「庇いたくなるのは分かるけど、そうは行かないんだよ」
「この人の言う通りです。私、亀津さんだけに罪を着せる訳には行きません」
「で、でも・・・・・・」
亀津は、みのりを巻き込んだ事を深く後悔する。
「良いんです。私も覚悟を決めて手伝ったんですから」
みのりはそう言って、絢巡査長に手を差し出す。
「坂本正明さん、殺害容疑で緊急逮捕します」
絢巡査長はみのりの手に手錠をかけた。
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