行方-6

「ねぇ、Tiktokってどういう事?」

 警視庁へ戻ってきた明野巡査は共に廊下を歩く遊原巡査に質問する。

「だからさ、その女子高生はTiktokから犯人に繋がる情報を得たってことだろ?」

「ああ、そうか。でも、そんなすごい情報をTiktokerが持っているのかなぁ~」

「それを調べてもらいに行くの」1

 遊原巡査に連れられて来たのは、サイバー捜査課であった。

新美しんみさん」遊原巡査が声を掛けると、パソコンのモニターから顔を上げる眼鏡の男性。

「あ、遊原さん。お久しぶりです」

「お久しぶり。あ、こいつは命捜班の明野泉」

「初めまして。明野です」遊原巡査に紹介され、新美にペコリと頭を下げる。

「どうも、サイバー犯罪対策課の新美です」と新美巡査も挨拶する。

「新美さんに調べてもらい事があって来たんだけど」

「何を調べれば」

「Tiktokerなんだけど」

「その人が何か犯罪でも?」

「ちょっと、ここじゃあ、アレだから」

「アレって?」

 新美巡査が言うや否や遊原巡査は会議室へと連れ込む。

「なん何ですか? 急に」

「新美さん。Tiktokerの身元って割れる?」

「できないことはないですけど。時間かかりますよ」

「どの位かかるんですか?」

「そうですね。捜査令状を取って、プロバイダーに請求してそこですんなり教えてくれれば良いんですが。まぁ、令状を取れば基本は教えてくれると思いますけどね」

「そうじゃないんだよ。新美さん」

「じゃあ、どういう事何ですか?」

「じゃあ、どういう事なの?」

 明野巡査と新美巡査は同時に同じ事を言う。

「いやだからさ、令状なしで身元を割って欲しいんだよ」

「それって、違法捜査じゃないですか!?」

「しっ! 大きな声を出さないで!」遊原巡査は新美巡査の口を塞ぐ。

「で、出来ませんよ。僕には」

「そんなことないでしょ。昔はハッキングで腕を鳴らしたって酒の席で」

「あ、あれは、そのお酒の席での勢いで。つい・・・・・・」

 新美巡査の顔色が徐々に悪くなっていく。

 それを見た明野巡査は、今頃になって物凄く後悔しているんだろうな。そう思っていると、新美巡査が口を開いた。

「分かりました。やれば良いんでしょう」

 覚悟が決まった新美巡査の目は狂気に満ち満ちていた。そして、遊原巡査は乗せてやれたと満面の笑みを浮かべる。

「今すぐ私のデスクからパソコンを持ってきなさい」

「はい。はい。只今。泉は、新美巡査に珈琲を」

「分かったよ」

 本当にこれで良いのか? 腑に落ちないといった感じの明野巡査は遊原巡査に言われた通りに珈琲を準備するため、給湯室へと向かった。

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