GW-3

 燐はエステを終え、スキップを踏みながら部屋に戻る。

 ルームキーをドアノブに翳すとガチャという音共に鍵が開く。

 部屋に入ると、襟が倒れていた。

「え、襟さん・・・・・・」

 恐る恐る襟に近づき状態を確認しようと揺さぶるも反応がない。

「救急車!!」

 燐はスマホを手に取り、119番をかける。

 ドアをノックする音が聞こえたので、急いでドアを開けると行美と個亜田が立っていた。

「あ、あの襟さんが!!」

「何かあったんですか!?」

 個亜田は慌てて部屋に入って来る。

「部屋に帰ってきたら襟さんが倒れていて・・・・・・」

 2人に事情を説明する燐。

「死んでいます」

 襟の状態を確認した個亜田が行美と燐に報告する。

「そ、そんな・・・・・・」

 燐はその場にへたり込む。

「燐ちゃん、大丈夫だからね」

 へたり込む燐に寄り添い励ます行美。

 それから15分後、救急隊が到着しすぐ後に警察も駆け付けた。

 警察は現場に到着して直ぐに鑑識作業と聞き込みに取り掛かる。

「君が第一発見者?」

 意識高い系の若い男性刑事(以降の名称・意識高い刑事)が、燐の聞き込みを行う。

「はい、そうです」

「被害者との関係は?」

「SNSで通じ合った友人です。

それで今回のツアーに参加しようって、行美さんと誘ってくれて・・・・・・」

「そう」と冷たい返しの意識高い刑事。

「そうって・・・・・・」

 燐は事件のショックから少し落ち着きを取り戻し、この意識高い刑事の態度が癇に障り始めてきた。

 すると、別の刑事が意識高い刑事に耳打ちをすると燐に質問してくる。

「被害者の死亡推定時刻が午後21時から22時の間との事だけど、その時間は何してたの?」

「その時間はエステを受けていました」

「それを証明する人は?」

「エスティシャンの人だけかと」

「エスティシャンねぇ」

 メモを取る手を止め、燐を疑いの目で見る意識高い刑事。

「私が犯人だって言いたいんですか?」

 燐はストレートにものを言う。

「そうとは言えませんが、詳しい話を署で伺いたいのですが」

「嫌です」

 燐はすぐさま拒否する。

「なぜですか?」

「私自身もよく分かりません」

 直感的に燐はこのまま付いていけば、犯人として仕立て上げられると感じていた。

「あなた、未成年者ですよね」

「そうですけどそれが何か?」

 突如、燐の未成年者問題を話題にしてきた意識高い刑事の意図を読めずにいた。

「それに高校にも通われてないみたいですよね?

あなた、素行不良なタイプでしょ」

 嫌味ったらしく意識高い刑事は発言する。

「それ、事件に関係あるんですか?」

 燐は意識高い刑事を睨む。

「それはどうでしょう。」

「貴方、本当に刑事なんですか?」

「それはどういう意味です?」

「だって、そうじゃないですか。私が高校に通っていないかつ未成年者だけで、相部屋の人を殺害する可能性があるって判断する人はおかしいいと思います!!」

 燐は意識高い刑事を怒鳴りつける。

「い、いや、その・・・・・・」

 まさか、反撃にあうとは思わずたじろぐ意識高い刑事。

「どうしました?」

 制服警官が何かあったと思い、声を掛けてきた。

「それが・・・・・・」

 意識高い刑事は制服警官に耳打ちをし、去っていった。

「お話は聞きました。では、署に行きましょうか」

 制服警官は燐を署にエスコートしようとする。

「行きません!!!」

 そこから燐と制服警官との戦いが始まった。

 さながら、警察24時で職質を拒否する容疑者の如く。

 そして、2時間が経ち、隙を見て長四郎に電話をする冒頭に話は戻るのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る