展示-4

 長四郎、燐、絢巡査長の3人は、事件関係者聴取の為に職員が集められている玄関ホールへと移動した。

 その中で暇そうに1人立ち尽くす女性が居たので、その女性に声を掛ける。

「あの、良いですか?」絢巡査長は声を掛けると「はい。大丈夫です」と答える女性。

 女性は展示品の管理を業務とする職員のつくだ みのりと名乗った。

「佃さんは被害者の坂本さんとご面識は?」

「ありますよ。勤続5年目ですから」

「そうでしたか」絢巡査長はその回答を聞きメモを取る。

「あの坂本さんは、どのような館長だったんですか?」

 長四郎がここで質問した。

「大変立派な館長でしたよ。というのは噓で、酷い人でした」

「酷い人?」燐がその部分を強調しながら聞き直す。

「そうです。セクハラ、パワハラは当たり前。終いには、横領までする始末でした」

「それは酷いですね」

「でも、最後は追い出されたんですけどね」

「因果応報で追い出されたというわけですか。それはいつの出来事ですか?」

 長四郎の質問にみのりは「2年前です」と答えた。

「割と最近だね」燐は小声で長四郎に耳打ちすると「そうだな」とこれまた小声で返答する長四郎。

「坂本さんに恨みを持っている人物に心当たりありませんか?」

「ここに勤めている人間全員、あの人の事は嫌いなので犯人を絞るのは難しいですよ」

 みのりは絢巡査長の問いに答えると共に、アドバイスまで授ける。

「成程。どうもありがとうございました」

 絢巡査長は礼を言い、聞き込みを切り上げた。

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