将軍-16

「ゲネラールから挑戦がきたの!?」

 燐は大声で驚き、燐の声がうるさいので大人全員は耳を塞ぐ。

「うるさいぞ。女子高生」

「うるさくもなるわ! あの記者探さないと!」

「それは捜査本部の人がやってくれてるから大丈夫」

 出て行こうとする燐はドアにそのまま突っ込み倒れる。

「探偵さん。第五の殺人事件の捜査資料は手に入ったんですか?」

「遊原君。よくぞ、聞いてくれた。はい、これ」

 貰ってきた捜査資料を遊原巡査に渡す長四郎。

 遊原巡査はすぐにそれを人数分コピーし、配る。

「ねぇ、第五の殺人事件を追っていて良いの?」

 燐はこの状況に不満があるといった感じで長四郎に質問した。

「良いんだよ。ゲネちゃんが好きにしたらぁ~ って言っていたから」

「何、そのふざけた感じ」

「え~ っと、被害者は度久どく 太一たいち。職業は医者か・・・・・・」

 佐藤田警部補が捜査資料に書かれている被害者の情報を読み上げる。

「医者。その前は、美容師。それでその前はコンビニ店長、その前は専業主婦。最初の被害者はサラリーマン。何の共通点があるんだろう?」

 明野巡査は腕を組んで考え込み始める。

「共通点は更利満だろ? 何、言ってんだか」遊原巡査は明野巡査を人差し指でトンっと小突いた。

「更利満が生きているとして、最初の被害者は誰なんでしょう?」絢巡査長は自身の疑問を発言した。

「それは、俺が調べますわ」佐藤田警部補が真っ先に更利満の正体を追う事を名乗り出た。

「じゃ、あたしもそっちの方に」一川警部の発言を「一川さんは俺の手伝いを」と長四郎は一蹴する。

「え~ 何でぇ~」

「捜査本部とやり合うのに責任者として居てもらわないとねぇ?」

 長四郎が一川警部以外の人間にそう尋ねると全員がうんうんと頷いた。

「酷かぁ~」一川警部は光り輝く頭を抱えてショックを受ける。

「ま、その代わり、ここに居て良いですから」

「長さん。それで、励ましているつもり?」

「一川さん、励ますって。子供じゃないんですから」

「長さんの言う通りですよ。一川さん。ここは責任者としてドンッと構えていてください」

 絢巡査長の励ましにもなってない言葉を受け、一川警部は何も言わなくなった。

「それで、長さんは第五の殺人事件を捜査するんですか?」

「うん」

「いや、うんじゃないでしょ。あんた、記者の事を忘れてない?」

「お、そうだった」

「そうだったじゃないでしょ。探偵さん」

 明野巡査は困った人だといった顔で頭を抱える。

「じゃあ、第五の殺人事件は絢ちゃんに任せても良い?」

「構いませんけど」

「じゃ、宜しく」

「あの俺達は?」遊原巡査が挙手しながら質問をする。

「遊原君と泉ちゃんは俺のお手伝いを」

「じゃ、私は?」

「ラモちゃんは家で温温しながら、冬休みの宿題でもしていたら」

「まだ冬休みじゃないんですけど!」

 燐のその発言を聞いた長四郎は言ったな、言ってしまったな。そう言った顔をする。

「な、何よ」

「自分から不登校高校生である事を言ったな。さ、学校へお帰り」

「てか、今日は日曜日。何で、家が学校みたいになってんのよ」

「え? 違うの!?」

「違うわ!! それより、記者の元へ向かうよ!!!」

 燐に首根っこを掴まれた長四郎は引きずられながら、捜査本部へと連行された。

「言っちゃいましたね・・・・・・」明野巡査がそう言うと「明野、早く探偵さんを追うんだ」佐藤田警部補にそう言われ、明野巡査は遊原巡査の首根っこを掴み遊原巡査もまた引きずられながら長四郎の後を追うのだった。

「じゃ、私も捜査に向かいます」

「んじゃ、俺も」

 絢巡査長と佐藤田警部補は椅子から立ち上がる。

「二人共、もう行くと?」

「一川さん。留守番宜しくです」

 絢巡査長はそう告げ、捜査へと向かった。

 こうして、一人部屋へ残された一川警部はテレビの電源を入れて始まったばかりの二時間サスペンスを見始めるのだった。

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