返金-15
燐は堂々と例の会社のテナントに入る。
すると、部屋の中に金髪の男が一人、暇そうにスマホをいじっていた。
「どうもぉ~」
燐は手を振って、男に挨拶をする。
「あ! てめぇ!!」
男はすぐに仲間へ連絡しようと通話アプリを開こうとするが、それは出来なかった。
何故なら、燐が仲間に連絡を入れられる前に先制攻撃を仕掛けたからだ。
男がスマホに目を向け隙に机の上に駆け上がり、男の顔目掛けて回し蹴りを入れた。
「グボッ!!」
男は変な断末魔を上げながら、壁に叩きつけられダウンする。
「よしっ」男が落ちた事を確認した燐は、ロックが解除されたスマホを操作し始める。
無料通話アプリを開き、メッセージの履歴を確認する。
「ふ~ん。これが仕組みかぁ~」
メッセージには、ここに足を踏み入れた時、金髪の強面達が乗り込んでくる理由が書かれてあった。
燐はすぐに奈緒に電話し、部屋に呼び込む。
「大丈夫!!」
血相をかいた奈緒が慌てた様子で入ってきた。
「大丈夫ですよ。それより、こいつを連れて早くずらかりますよ」
「え、この人は?」
「それは後で説明します」
「分かった」
奈緒はすんなりと燐の言葉に従い、燐と協力して金髪の男を抱えて連れ出すのだった。
金髪の男が目を覚ますと、サングラスを掛けて顔を隠した燐と奈緒二人が腕を組みこちらを睨んでいた。
「何すんだよ!!」
金髪の男が椅子から立ち上がろうとすると、足を縛られていたので床にこける。
「痛っ!!」
頭を打ち悶絶する金髪の男を起こす燐。
「世話が焼ける奴ね」
「お、お前ら何者だ。つーか、ここどこだよ!!」
「私たちは、あんたらと敵対する組織に所属している者よ。そして、ここは精神と時の部屋」
燐はそう答えた。勿論、精神と時の部屋というのは噓で、長四郎が依頼人の身を隠せる場所として使っている空きアパートの一室であった。
「敵対組織? そんな話、聞いたことないぞ」
「あんたが知らないって事は、組織の中では下っ端って事ね」
下っ端という言葉が刺さったのか金髪の男は、苦虫を嚙み潰したような顔をする。
「下っ端じゃねぇよ」
「そこは否定するんだ。ま、そんなことはどうでも良いや。あんたらのボスはこのピシャリって人?」
燐はネットから拾ってきたピシャリの写真を見せながら、質問する。
「知らねぇ~よ」
「知らないのは、下っ端だからか」
「だから、下っ端じゃねぇよ!!」
「じゃあ、分かるでしょ? こいつが組織のボスだってことは」
「・・・・・・」金髪の男は何も答えず、目を伏せる。
「質問を変えるね。あんたらとは、別の部隊があると思うんだけど。しらばっくれても駄目。ここに書いてあったんだから」
金髪の男の所持品であるスマホを見せる。
「くっ!」
「悔しがる前に話しなよ。悪いようにはしないよ」
「・・・・・・」
「ああ、そ。OK. 黙秘を貫くならそれで結構。時間はたっぷりあるから、どんな拷問にも耐えて見せてね」
燐は金髪の男に笑顔を向けると、金髪の男は顔を引きつらさせる。
「じゃ、拷問用道具買ってくるから、待っててね。行きましょう」
燐が奈緒にそう促し、部屋を出ようとする。
「ま、待ってくれ! 話す。話すから拷問はやめてくれ!!」
「じゃ、話してくれる?」
燐はスマホのボイスレコーダーを起動させ、金髪の男が知っている事を洗いざらい聞き出すのだった。
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