対決-3
燐は今、夏休み前の一学期末テストを受けていた。
燐は退屈そうにしながら、テスト用紙に答えを書いていく。
ここ数日、クラスメイト達にテスト前の勉強会に付き合わされ長四郎の事務所に行けずフラストレーションが溜まっていた。
「あーイライラするっ!!!」
燐はそう言って、テスト用紙に六芒星を殴り書きする。
「羅猛さん、いたずら書きしない」
巡回していた先生に注意され「すいません」と謝り、すぐさま消しゴムで六芒星を消すのだが、それと一緒に今まで書いた解答まで消してしまう。
テスト終了まで残り五分。
「あっ! やべっ!!」
燐は大急ぎで、テストに解答を書き込むのだった。
その頃、警視庁内の命捜班の部屋で勇仁から六芒星の組織についての説明会が行われていた。
「この六芒星の組織はエグザグラムと呼ばれている。FBIからマークされている組織でもある」
「あの質問良いですか?」絢巡査長は挙手して質問する。
「何?」
「FBIが追っているなら、民間の探偵会社に組織の調査なんて依頼するんでしょうか?」
「良い質問するね。それが、依頼されるのよ。うちの会社、優秀だから」
自画自賛するんだなとその場に居た勇仁を除く全員がそう思った。
「で、話を戻すと、調査していくと奴らは日本で何かデカい事件を起こそうとしているっていう情報が入ってね」
「それで、帰国ってわけだ」
長四郎がそう言うと勇仁は、「That’s Right.(その通り)」と答えた。
「デカい事件って、政治家秘書襲撃事件の事ですかね」
「絢ちゃん、それはないな。それだったら、勇仁はもっと早くに帰国してる。だから、あの事件は前哨戦ってところじゃないか?」
「長さん、よく分かってるじゃない。俺も燐からその話を聞いて、帰ってきたってわけ」
「成程。ここだけの話にして欲しいんやけど、どうやら公安も小岩を追っとうみたいのよね」
「一川さん、その情報はどこから」
「神奈川県警」
「神奈川県警? って事は、小岩は神奈川で殺された?」勇仁が尋ねると、「はい、そうです。横浜で」と絢巡査長が答えた。
「神奈川県警がどうかしたの?」長四郎にそう聞かれた勇仁は「いや、神奈川県警に知り合いの刑事が居るから」とだけ答えた。
「それで、小岩は本当に爆殺されたんですか?」
「検視の結果、歯の治療痕から当人であることは証明されたばい」
「替え玉ではなかって事か・・・・・・」
長四郎はそう言いながら、部屋の天井を見て何かを考え始める。
暫くの間、命捜班の部屋に沈黙の時が流れる。
「よしっ、横浜に行くか!」
長四郎と勇仁は声を揃え立ち上がるのだった。
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