彼氏-13
日向は友人らしき人物とチェーンの居酒屋へと入っていった。長四郎も続いて店に入りラッキーなことに、隣の席に着くことが出来た。
長四郎は席に座ると同時に一川警部に現在地、現在の状況をメッセージにて報告し、生ビールを注文した。
そして、ビールを飲みながら隣席の会話にちょっと、聞き耳を立てる。
「それで、良いバイトがあるんだって」友人Aが尋ねると、「まぁな」と答える。
「どんなバイトなんだよ」友人Bが質問する。
「投資」
「お前、意識高い系なんだな」友人Aが茶化すと「そんな事ねぇーよ」と答える日向は内心「お前の意識が低いだけだよ。バァ~カ」と叫ぶ。
「そういや、高校生の彼女は元気?」
友人Bの問いかけを聞いた長四郎は集中する。
「ああ、あれね」
「その感じだと、別れたな」
「何で、分かるんだよ」
「ああ、あれねとか言う時点で、お遊びだったってのが分かるんだよ」友人Aは恋愛分かってますよという体で話をする。
長四郎はその話を聞いてあのファミレスに居た燐とリリは、多分振られた傷を慰め合っていたんだなと踏んだ。早く事件の話をして欲しいと思っていた時「そういやOLとも付き合ってたよな」友人Aが話を切り出したので、長四郎はガッツポーズを取る。
「ああ、そうだったな」
日向はそれ以上を語ろうとしない。
「でも、金は持っていたんだろ? 何で別れたの?」
「いや、別れたとは言ってないだろ」と友人Aが否定する。
「あの感じだと、別れてるだろ」
そんな言い合いをするA,Bに少し苛立ちを覚える長四郎は、日向の反応を見る。
日向は下を向き、何か動揺しているようであった。
「長さん、お待たせ」
一川警部と絢巡査長が遅れてやって来た。
「いえいえ、駐車場なかったんですか?」
「そうなの。どこも一杯やったと」
「大変でしたね」
長四郎は労をねぎらいながら、日向達の会話に耳を傾け続ける。
「急に黙って、どうしたんだよ?」友人Aが心配そうに尋ねると「黙ってねぇ~よ。お前らが言い合いしているから、呆れていただけだ」
日向はそう答えると、机に置いてあったウーロンハイを流し込む。
「あ! OLの彼女。殺さてんじゃん!!」
スマホで円山美歩を検索していたであろう友人Bが騒ぎ立てる。
「え! マジ!?」それに驚いた反応を見せる友人Aに対して、重要参考人の日向はというと。
目を右往左往させ少し動揺しているかのように見えた。それを監視する3人は世間話をする体を装いながら隣席の会話を聞き続ける。
「おい、日向。お前知ってたのか?」
「知るかよ。そんな事」ぶっきらぼうに答える日向。
「何、怒っているんだよ」友人Bが宥めると「怒ってねぇーよ」と言いながら机の上にバンッと1万円札を置き退店した。
「どうしたんだ。あいつ・・・・・・」
友人Aが不満げに言うと、「居るんだよな。ああいう奴。君たちも大変だねぇ~」長四郎が日向の友人2人に話し掛ける。
『え?』
隣の席に座る見知らぬ男から声を掛けられて戸惑っていると、「ごめんね。あたしら、怪しい人とかではないと」一川警部はそう言いながら2人に警察手帳を見せた。
「ねぇ、彼について知っていること教えてくれない?」
絢巡査長がそう尋ねると、友人2人は元気に『はい!!』と返事をした。
そこから、大学における日向の素行や円山美歩との出会い等を聞き出す事に成功したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます