海外-8
「いきなり、帰れって」戸惑う燐を他所に長四郎は「ラモちゃん。お言葉に甘えて、帰ろう」とミシェルの提案をあっさりと受け入れる。
「ちょっと!」
「ラモちゃんさぁ、危ないぜ。銃社会で俺達太刀打ちできないもん」
「何、情けない事言ってんのよ。日本男児でしょ!」
「そんな事、言われてもぉ~」
長四郎はぶりっ子女子のように身体をもじもじさせる。
「キモっ!」
「うん、確かにキモい」ミシェルも燐の言葉に賛同する。
「そんな事より、彼らが帰る為のチケットを用意しないとな」
デモンはスマホで成田空港行きの飛行機のスケジュールを確認し始める。
「あ、依頼料はキチンと振り込んでおいてね」
「そういうところはしっかりとしているんだね」
ミシェルに依頼料をせがむ長四郎を見て、燐は呆れたといった顔をする。
翌日、サンフランシスコ国際空港に向かう高速道路を、長四郎達を乗せた車は走っていた。
「ホントに帰るつもりなの?」
燐は助手席に座る長四郎に、後部座席から身を乗り出して問う。
「しつこいなぁ~」後頭部をボリボリと掻きながらサイドミラーを見る。
後方から如何にもこちらを狙っているであろう黒い四駆の車が追走してきていた。
「帰るったら、帰るの」
「長四郎の言う通りよ」
ミシェルも追走してくる車に気づいたらしく、アクセルを踏み込む。
ぐんっと加速した車に引っ張られるように燐は後部座席に叩きつけられる。
「ちょっと! 急に何?」
「燐、シートベルトしてね」
「もう、してるっ!!」
燐は左右に振り回されながら、そう答える。
ミシェルが運転する車は、走る車と車の間をすり抜けて追走する車を巻こうとする。
「急に何?」
「もう組織が私達に勘づいたみたい」
「噓でしょ!」
「噓じゃないよ。ラモちゃん」
長四郎も身体を左右にさせながら答える。
追走する車は一台だけではなかった。背後から三台、同じ車種の車は長四郎達が乗る車を囲む。
「どうやら、戦うしかないようね」
ミシェルはグローブボックスから、グロッグ18を取り出す。
「え、マジ!?」
ミシェルの手の中にある銃を見て驚愕する燐。
「マジよ!」
窓を開けて、左隣を走る車のタイヤを撃ちぬく。
バァン! というでかい音と共に、左隣の車は蛇行運転してガードレールにぶつかる。
「Wao!!」長四郎は拍手していると「次は、長四郎の番よ」ミシェルはそう言ってグロッグ18を渡す。
「俺、ドンパチは苦手なんだけど」
そう言いながら、長四郎は右隣の車のタイヤを撃つ。
「絶対、ウソじゃん・・・・・・・」
燐は自分も銃を撃ってみたいと思いながら、長四郎を羨ましそうに見つめるのだった。
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